積水ハウス、MIT医工学研究所と共同研究
在宅健康モニタリングの住宅導入を目指す
積水ハウスは家にいながら疾患の早期発見や予防を実現する在宅健康モニタリング・早期発見システムについて共同研究を行う。住まい、医学、工学の専門家が集まり、成果をプラットフォームハウスに順次導入していく考えだ。
積水ハウスは、マサチューセッツ工科大学の医工学研究所(IMES)と在宅健康モニタリングと早期発見システム(EDS)に関する長期共同研究を行う。
IMES は、学会、産業界、医療機関が集まり、病気と健康の根底にあるプロセスを調査、予防、診断、治療のための新たな解決策を見つけるなど、生物医科学と工学を通じて健康を改善することを目指している。
このIMES のリビングラボ施設内にEDSの推進に特化したプログラム「The Sekisui House atMIT」を設置、MIT の主要メンバーと積水ハウスの研究スタッフが共同研究を行う。微弱な環境信号を捉える空間埋め込みセンサー、ゴールドスタンダードとなる医療レベルの診断器具、診断の対象および基準を確立する高精度な研究用センサーなどが設置される。
ポイントは、この取り組みが積水ハウスによるスポンサーシップではなく、特定のテーマとニーズについて複数年にわたり継続したコラボレーションを行うということだろう。当面は同社の日本の研究所とMIT が並行して研究を進めるが、リビングラボ内の施設が完成次第、同社のスタッフが常駐して研究に携わる予定だ。
住まいと医学、そして工学を融合することで、「“家が健康をつくり出す”というコンセプトを具現化するための大きな一歩」(仲井嘉浩社長)を踏み出すことになる。
MIT のブライアン・アンソニー教授は「積水ハウスとのコラボレーションにより、スマートホームで居ながらにして健康になるなど、人の健康を大きく変えていくことができる」と期待する。
プラットフォームハウスに研究成果を順次導入
積水ハウスは今年1月に、家を人生の変化に対応させる「プラットフォームハウス」構想を打ち出したが、まず取り組みを進めているのが「健康」である。
疾患事故のうち自宅での発症割合をみると、脳卒中が79%、心筋梗塞が66%に達している。こうした急性疾患について「住宅内での早期発見、予防サービスの需要が高まっていく」(仲井社長)と取り組みに力を入れる。
そのために重要になるのが、脈拍数や呼吸数から危険を察知する非接触のセンシング技術、居住者に対するプライバシーへの配慮である。共同研究を通じ、こうした技術やノウハウを順次プラットフォームハウスにインストールしていく。さらに、疾患の早期発見だけでなく快眠やリハビリなど幅広い活用にも期待をかける。
「人生100 年時代に世界が直面する社会課題を解決する、新たな価値を追求する」(仲井社長)と、MIT とのコラボにより健康への取り組みを加速させる。
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