東京ガス、京セラと協業で開発した小型エネファームを販売
燃料電池はエアコン室外機並み、狭小や集合住宅に
東京ガスは、京セラと協業で製品開発した世界最小サイズとなる家庭用燃料電池「エネファームミニ」の販売を始める。これまで課題とされていた狭小住宅や集合住宅への売り込みを強める。
エネファームの販売台数はここ数年足踏み状態が続く。(一財)コージェネレーション・エネルギー高度利用センターによると、2018 年度の販売台数は4万6590台。16 年度から4万6000〜4万8000 台で推移している。普及への課題として指摘されているのがエネファームの設置スペースだ。エネファームの大きさはメーカによって異なるものの、従来品だと、熱源機(120㎝)を超える高さのある燃料電池ユニットもあり、窓下に設置できない問題があった。また、住宅が密集する地域では、設置するための隣家とのスペースがとれなかったり、設置する作業スペースを確保できなかったり、という問題も。集合住宅でも設置スペースでの課題を残す。
こうした問題を解消しようと、両社は、協業で小型化の開発を進めてきた。今回、販売されるエネファームミニの燃料電池ユニットの大きさは、幅80㎝、奥行き35㎝、高さ70㎝。容積換算で従来品の40%水準という。エアコンの室外機並みの大きさまで小型化したことで、戸建て住宅の窓下にも設置が可能に。また、35㎝の奥行から、隣家まで50㎝しかない住宅でも設置することができるようなるなど、狭小住宅や集合住宅への提案が可能に。ほぼ全ての住宅をカバーできるようになった。ここ数年、横ばいで推移しているエネファーム市場だが、「十分に起爆剤となりうる」(東京ガス燃料電池事業推進部長の高世厚史氏)と期待する。
今回の製品開発は、京セラが主体となり、ダイニチ工業とパーパスの3社共同で行った。京セラは、燃料電池ユニットの心臓部にあるセルスタック・システム開発を担った。ダイニチ産業は、燃料電池ユニット設計・製造を、パーパスは熱源機・SOFC 出湯制御に関する部分で関わった。今回の肝は、燃料電池ユニットで電気の発生部分に当たるホットモジュールの小型化だ。「セルスタックを小さくした」(京セラソーラーエネルギー事業本部副本部長の小谷野俊秀氏)。また、外タンクも従来よりも小さい、20リットルに。
燃料電池ユニットを小型化したことで、設備の軽量化にもつながり搬入時間も短縮。低重心化により下駄基礎の利用が可能になったことで、設置工事の短時化も図られ、導入コストの低減にもなる。
燃料電池には、発電効率の高い固体酸化物形燃料電池(SOFC)を採用し、発電出力は最大400W。停電時でも発電を続ける、レジリエンス機能を標準で搭載した。
燃料電池ユニットはダイニチ産業が製造を受託し、京セラブランドとして東京ガスに供給。パーパス製の「熱源機」を組み合わせて、東京ガスが10 月30 日から販売を始める。高世氏は「これを機に、住宅ストックの部分にも入り込んでいきたい」と販路拡大に意欲を示す。
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