大東建託、IoT駆使した賃貸住宅を商品化

鍵、エアコン、検索…これまでの生活様変わり


大東建託が開発したIoTプラットフォームを活用した賃貸住宅「スマートライフ賃貸住宅」が東京都世田谷区にお目見えした。スマートロックをはじめIoTを通じた家電製品の操作など令和時代を象徴するハイテク機能がずらりそろっている。


第1号物件として登場したスマートライフ賃貸住宅は、ドアノブの上にICカードを読み込む機能を搭載。ICチップ搭載のカードをかざせば、一発で解錠する。これまでのような、買い物した荷物を両手で持ちながら、鍵を鍵穴に差し込み、解錠するといった煩わしさからは開放される。

家の鍵をどこかに落としてしまった…。こんな時、これまでだと防犯上の問題からシリンダーの交換をするケースも少なくない。それ以前に、鍵がなければ家に入れない。そんな時にもスマートロックは活躍する。カードをかざす表示板は暗証番号の表示板の役割も。既に設定している4桁の暗証番号を入力すれば、カードキーがなくても解錠できるのだ。この暗証番号の入力だが、固定入力し続けると、表示板がその部分だけ禿げたりし、暗証番号を盗み取られる恐れもある。これを防ぐため、このスマートロックは暗証番号を押す前に、表示板に2つの数字がランダムに点灯。その2つの数字を押してから暗証番号を入れないと、解錠出来ない仕組みになっている。「ランダムの数字を入力させることで、表示板に入力する数字の偏りをなくし、盗み取られるリスクを減らす」(技術開発部技術開発課の上島賢大チーフ)と話す。

スマートロックで合鍵不要に

もう1つの特長が合いカギだ。これまでだと、例えば、自分の家に両親が訪れる場合、鍵を持っていないので、両親が来るのを待つか、どこかで合鍵を渡すなど、手間が掛かるケースも少なからずあった。スマートロックでは、ワンタイムパスワードで、この点の煩わしさを解消。住まい手がスマートフォンで、解錠可能な時間を設定すれば、ワンタイムパスワードが発行され、その時間内であれば、住まい手が居なくても、パスワードを受取った人は鍵を開けることができる。「住まい手も、来訪者もそれぞれ時間に拘束されずにすむため、時間を有効に活用することが出来る」(同)と強調する。

このワンタイムパスワードは、不在時の荷物の受け取りにも応用可能だ。ワンタイムパスワードを受け取った人は、設定者が決めた時間の範囲での施錠が可能となる。宅配便の担当者がインターフォンを鳴らすと、居住者のスマホにも来訪者の確認ができる「スマートインターフォン」の機能がある。このスマートインターフォンと、ワンタイムパスワードの仕組みを組み合わせれば、宅配便の担当者は不在者の玄関内に荷物を置くことが可能だ。制限時間が過ぎると自動的に施錠する。「玄関内に扉のようなものを設けるなどセキュリティーを考慮すれば、実現可能なサービスとなる」と担当者はみる。スマートインターフォンは、出先からスマホを使って、不在時に誰が訪問したかが確認できるため、留守がちな人にとって住まいの安心につながるツールだ。

オッケーグーグル。ただいま――。部屋に入り、開口一番、こう話すと、部屋の電気が付き、お好みの音楽が流れ、仕事や勉強で疲れた体を癒してくれる。

テレビやエアコン、照明など、それぞれのリモコンで操作することの煩わしさを感じる人も多い。この賃貸住宅には、専用アプリによる赤外線家電の遠隔操作が可能なホームオートメーションを導入。スマホにそれぞれのアプリを入れ、セットアップすれば準備完了。スマホ操作するだけで、エアコンの温度調節やテレビでの番組選択などが自由自在だ。グーグルのスマートスピーカーと連動させれば、こうしたスマホの操作も省略できる。「オッケー グーグル テレビをつけて」。室内で、言葉をこう発すれば、テレビの操作も自由自在だ。エアコンも。照明も。

スマートロックで簡単に解錠ができる
スマートロックは停電でも使える電池式、電池がなくなっても外から給電で応急対応できる
スマホで不在時の来訪者を確認できる

帰宅時間に合わせ風呂を沸かす

風呂も、遠隔操作が可能だ。リモコンでタイマー予約のできる機能の付く給湯器は多い。しかし、例えば夜8時の帰宅と考えていたら、残業や同僚とのいっぱいなど、朝家を出る時には想定していないことが起こりうる。タイマーセットされた風呂は8時に沸く。しかも、自動機能が発動し、風呂の温度を維持するため、風呂に入らなくても、なんども設定温度に沸かす。光熱費が……。こんなことにならないためには、確実に帰宅時間が分かってから、風呂を沸かしたいだろう。その手伝いをしてくれるのがスマート給湯器だ。専用アプリを入れるだけ。遠隔地からスマホで沸かせる。万が一、風呂の栓が開いていていても、一定の水量に到達するとストップする。「今は、洗浄機能はついてないが、その機能が備わり、浴槽栓の開閉も自動でできれば、洗浄から風呂を沸かすまで、職場からも操作可能になる」と担当者は、先を見据える。

さて、ゆっくり、風呂に浸かって、鋭気を養った翌朝。身支度をしながら、バスや電車の時間を気にする。こんな光景も、1人暮らしでは珍しくない。スマホでバスの時間を確認しながら、化粧や髪形のセット。これを一挙に解決してくれる機器が、この部屋に装備されている。鏡のついたディスプレイ「スマートミラー」が、それを実現する。鏡には、自分の顔と同時に、webサイトも表示される。リアルタイムで路線バスの時刻や電車の時刻が確認できるため、これを見ながら、居住者は身支度する。

複数の赤外線リモコンをスマホで操作できる
朝の忙しい身支度時でも鏡を見ながら、バスの時刻などが検索できる

エアコン消したかな?
スマート電気で確認

それでも朝の時間は戦争だ。電気消した。テレビ消した。こんなことを確認しながら、会社に行く日常。これを「オッケーグーグル行ってきます」と話すと、自動的に電気が消える。

そんな言葉もかけられないぐらい、慌てて家を出てしまった。通勤途中にふと頭によぎる「エアコンきったけ?」。

こうなった時の機能として用意されているのが、スマート電気だ。電力センサーが、使用電力を推計。スマホから、電力の使用状況を確認して、つけっぱなし可能性が高いと分かれば、スマホを操作し、消し忘れたエアコンの電源を落とすことができる。

「IoTを使いこなすことができれば、時間の使い方を含めて住まい方が大きく変わる」(情報システム部システム管理課 杉村鋭チーフ)と話す。

記者の目

一言でいえば、人間のうっかりミスをフォローしてくれる住宅だ。鍵の紛失、電気の消し忘れ…。これを、ハイテク技術を使って、解消できるのであれば、人のストレス軽減にもつながるだろう。問題は、こうした技術が駆使された賃貸住宅を、どうやって家を探してしている人に訴求していくかだ。現状での不動産サイトには、IoT という検索キーワードは見当たらない。仮につけたとしても、家を探している人がイメージをわかせるだろうか。大東建託の担当者も、その点のPR 方法に苦労している。IoT 住宅への具体的なイメージ性については、持ち家も賃貸も同じだ。より具体的に消費者に訴えることで、IoTは付加価値の1つとして消費者に受け入れられるのであろう。



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