2019.10.21

硝子繊維協会・ロックウール工業会 無機系断熱材の標準工法を普及

より簡単に断熱・気密、耐震・耐火性能を向上

硝子繊維協会とロックウール工業会はそれぞれ、グラスウール断熱材とロックウール断熱材を用いた標準工法として「GWS工法」、「RWS工法」をまとめた。構造用面材、石こうボードなどを併用することで、施工を簡略化でき、断熱・気密性能、耐震・耐火性能を簡単に高められるメリットを訴求し普及を目指す。


グラスウール断熱材は、優れた断熱性能に加えて耐火性能、コストパフォーマンス、耐久性や吸音性などを備え、住宅用断熱材として5割以上のシェアを占める。ロックウール断熱材は、断熱性だけでなく、耐火性能にも、吸音性にも優れたバランスの取れた断熱材として定評がある。

一方でグラスウール断熱材とロックウール断熱材は、無機系断熱材として充填断熱の施工面で共通の課題を抱えている。とくに筋かいへの施工と、気流止め対策が難しいとされ、均一な性能を確保するためには、正しい施工方法が求められる。更なる普及に向け、いかに正しく施工ノウハウを伝えるかがハードルとなっている。

硝子繊維協会とロックウール工業会が作成したGWS工法、RWS工法施工マニュアルの表紙

耐力面材、石こうボード併用でより簡単に性能向上

硝子繊維協会とロックウール工業会は、これらのハードルをクリアするためにタッグを組み、グラスウール断熱材とロックウール断熱材の充填断熱材と併せて、構造用面材や石こうボードなどを多用して面として気密性を確保する「ボード気密工法」のノウハウなどを改めて整理し、標準工法として、グラスウール断熱材を用いる「GWS工法」と、ロックウール断熱材を用いる「RWS工法」をまとめ提示した。2つの工法の違いは、どちらの充填断熱材を使用するかで、構造用面材、石こうボードなどを併用する基本的な考え方は全く同じだ。

室内外の壁に構造用面材や石こうボードを使用することで、筋かいの施工を省力化でき、床にも構造用面材などを施工することで、床・壁の取り合い部の気流止め対策を省略できるほか、耐震性能を高めることができる。さらに、内装用下地材として石こうボードを、胴差しや梁、桁上まで張り上げることで、壁・天井部取り合い部の気流止め対策が不要となるほか、省令準耐火に対応できる。

「GWS工法」、「RWS工法」の「S」は、それぞれの工法が持つ4つのメリットの頭文字を表す。気流止め材施工を省略化できる「Simple」、省施工により賢く性能を引き出す「Smart」、面材で耐震性能の向上を図れる「Strong」、石こうボードの張り上げにより省令準耐火にも対応できる「Shield」の4つの「S」だ。

ロックウール工業会の住宅断熱部会 瀧澤弘平部会長は、「職人不足が加速する中で、施工面の負担をいかに解消していくかは業界として取り組んでいくべき大きな課題。施工を簡略化でき、簡単に性能向上を図れるRWS工法を訴求して、ロックウール断熱材の販売拡大を目指したい」と話す。

GWS工法のイメージ

施工マニュアルを策定
グレードアップの気づきに

硝子繊維協会とロックウール工業会は、それぞれGWS工法とRWS工法の施工ポイントなどを解説したマニュアルを作成した。会員企業などを通じて住宅事業者、流通事業者などに配布し工法の普及を目指す。標準仕様のほかに、省令準耐火などには対応できないが、柱や間柱間に入れる気流止め木材を省略できる仕様を示すなど、自由度を持たせていることもマニュアルの特長だ。

GWS工法のマニュアル作成に携わった硝子繊維協会 断熱委員会の布井洋二委員長は、「これまで家づくり、施工の延長線上で、外壁や間仕切り壁、床と壁の取り合い部といった部位別に何をすればより簡単にグレードアップできるのか。GWS工法のマニュアルを役立ててほしい。そのヒント、気づきになるのではないか」と話す。

GWS 工法、RWS 工法の普及に向けタッグを組む硝子繊維協会 断熱委員会の布井洋二委員長(画像右)とロックウール工業会の住宅断熱部会 瀧澤弘平部会長(画像左)

名古屋・大阪で充填断熱の標準工法セミナー

硝子繊維協会とロックウール工業会は、11月28日に名古屋、11月29日に大阪でGWS 工法、RWS 工法の普及を目指し、「充填断熱のNEW スタンダード工法セミナー」を共催する。

東京大学大学院の前真之准教授が「『住宅の未来と望ましい断熱レベルを考える』~省エネ基準適合義務化なしの2020年を超えて」と題し講演。硝子繊維協会の布井断熱委員長が充填断熱NEW スタンダード工法の概要、日本合板工業組合連合会の神谷文夫技師長が「構造用合板による住宅の高耐震化」を説明する。そのほか、(一社)石膏ボード工業会、住宅金融支援機構の担当者が登壇する。参加費は無料。硝子繊維協会とロックウール工業会のHP 上に申込書を掲載。締め切りは11月22日。ただし各会場定員の80人になり次第締め切る。

場所開催日会場
名古屋2019.11.28「ウインクあいち」
(愛知産業労働センター)
大阪2019.11.29「すまい・るホール」
(住宅金融支援機構 近畿支店)