ポラスグループ・中央ビル管理 賃貸に入居者対象にポイント制度導入
住宅購入などにつながる顧客の囲い込み
ポラスグループの中央ビル管理は、賃貸住宅の入居者を対象としたポイント制度を10月から導入した。他の賃貸への住み替えや住宅購入につながるよう、入居者の囲い込みを図る。
賃貸住宅の管理などを手掛ける中央ビル管理の管理戸数は2万2065戸。東京を除く関東エリアでは9年連続でトップという。一方で、同社管理の賃貸住宅の入居者が、他の賃貸への住み替えや住宅購入で同社を選ぶケースは少ないという課題がある。
さらに同社が本業とする賃貸住宅の管理は、家賃滞納など入居者とのトラブルの際に問題を解決する役割を担うが、「優良な入居者との接点はあまりない」(同社)のが現状。このため、優良な入居者を、ポイント制度を導入して囲い込み、他物件の住み替えや、住宅購入などにつながる“ポラスグループのファンづくり”に生かす。
新たに始めたポイント制度「Room,sポイント」の対象者は中央ビル管理の管理物件に住む入居者。家賃と共益費に支払った額の0.1%のポイントが付く。更新、再契約では支払った額に関わらず50ポイントが付与される。例えば、6万円の家賃(共益費含む)を3年間支払った場合、2210ポイントがたまる。ポイントで換算される金額は賃貸への住み替えと、住宅購入で異なる。賃貸だと1ポイント10円での換算となるため、3年間で2万2100円。これを賃貸附随商品や鍵交換費用、ルームクリーニング代、家電レンタル費用に充てることが出来る。
住宅購入ではポイント額が10倍に。1ポイント100円となるため、3年間で22万1000円となり、売買仲介手数料に使えたり、インテリア商品券として使えたりする。「仲介手数料は100万円になることもあり、かなりのインセンティブになる」(同社)と強調する。
入居者はポイントをスマホで確認できるが、実際に使う場合には同社運営の不動産仲介店舗「ルームスポット」への来店が必要となる。ここにポイント制度を導入する隠れた理由がある。退去者への他の賃貸への住み替えや住宅購入が18年度ほぼ仲介できていない状態について、同社がその大きな要因として挙げるが、不動産サイトの広がりだ。「入居者が知りたい情報を、スマホなどを使って得ることが多いことから、ポラスグループの物件かどうかに関係なく、住み替えをすることが背景にある」と分析する。入居者がポイントを実際に交換するためには、店舗に足を運ぶ必要がある。
スマホへの対応策として、店舗へ人を呼び込む仕掛けが、このポイント制度ということになる。店舗に客を呼び込む手法の1つとして注目されそうだ。
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