2019.5.9

大京グループ、ZEH-Mの訴求を本格化

新ツールでメリットわかりやすく

大京グループは全国で7物件の販売を開始し、ZEH-Mの訴求を本格化する。新開発のツールでわかりやすくメリットを説明しマンションでもZEHの普及促進を図る。

ZEH-M採択物件3分の2が大京

大京と穴吹工務店(以下、大京グループ)は、ZEH-M(ゼッチ・マンション)の訴求を本格化させる。今回、7件のZEH-M(北海道、福島県、千葉県、神奈川県、山梨県、島根県、広島県)で販売活動を開始した。

経済産業省の「平成30年度高層ZEH-M実証事業」では15のマンションが採択されているが、そのうち大京グループのものは10と、全体の3分の2を占めており、同グループはZEH-Mの普及を先導するトップランナーとして注目を集めている。

ZEH-Mはマンション版のZEHとして2018年度からスタートした。基準策定から実証事業までの期間に十分な余裕がなかったため準備が間に合わず、実証事業への応募を断念したデベロッパーも多かったが、大京グループは10のマンションでZEH-Mに採択された。この理由について、建設管理部商品企画室の中山雄生室長は、「これまでに準備をしていたことが大きい」と話す。

同グループはすでに戸建分譲住宅でのZEHに取り組んでいるが、4年ほど前からマンションでもZEHを実現できないかと、仕様やコスト感などのシミュレーションを行ってきた。ノウハウの蓄積があったため、基準策定から実証事業までの期間が短くてもすぐに対応でき、多くの採択につながったという。

Nearly ZEH-Mを実現した「ライオンズ芦屋グランフォート」(兵庫県芦屋市・総戸数79戸)。屋上には太陽光発電を設置
横浜市・長津田のマンションギャラリーでは、一般的な窓と高断熱窓の温度差の違いを手のひらで体感できるツールを導入。ZEHのメリットを“体感”で訴求する

メリットの伝え方が課題
健康・快適を第一に訴求

その一方で、大京グループはZEH-Mの訴求に課題を感じているという。「一般消費者の認知度が低い。また、メリットを感じにくいという声も聞く」と中山室長は話す。

そこで、今回、ZEH-Mのメリットを「人にも、地球にもやさしい暮らしの新基準」(以下、新基準)として、改めてわかりやすくまとめた。今後、新基準に基づいて、ZEH-Mの訴求を行っていく。

新基準で第一に示すZEH-Mのメリットは、「健康・快適」。高い断熱性により、冬は暖かく夏は涼しく快適に過ごせることを訴求。また、冬はヒートショックなど健康にリスクがあることや、肌の乾燥を抑えられることなどをアピールする。今後も、実物件でデータを取り、訴求に磨きをかける。

第二にアピールするZEH-Mのメリットは「経済性」。高い断熱性と高効率設備(エネファーム等)を採用していることで、エネルギー使用量を削減し光熱費を節約できることを訴求する。「環境」もZEH-Mのメリットとして説明。ZEH-M住戸1戸で、ひと月に「ブナの木約8本」を植えるほどのCO2削減効果があることを示す。

今後、全国のマンションギャラリーで新基準に基づいたZEH-Mの提案を行っていく。特に、健康・快適については、高断熱窓と一般的な窓の違いを手のひらで体感できる提案ツールを導入、「数字や言葉だけでなく、メリットを体感してもらう」(同)としている。

新たな提案ツールを導入した横浜市・長津田のマンションギャラリーでは、来場者にアンケートをとり、一番気に入った物件のポイントを聞いたところ、「ZEH」の回答が最も多かったという。それだけに、うまく訴求すればZEHが大きな訴求力になる可能性は高いと言えそうだ。