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2019.2.28

東急建設、ゼネコンの総合力活かし 中大規模木造市場へ本格参入

保育園、サ高住中心に事業拡大

東急建設は、中大規模木造市場へ本格参入する。将来的な減少が見込まれる戸建木造事業を、中大規模木造事業でカバーし、新しい事業の柱として成長させていく。東急グループ企業との協業も積極的に進め、沿線価値向上にも寄与していきたい考えだ

住宅事業の将来的な落ち込みを中大規模木造でカバー

中堅ゼネコンの東急建設は、「モクタス」というブランドを立ち上げ、中大規模木造市場に本格参入する。モクタスには、都市に木(もく)を足すことで、心地よいまちづくりに貢献したいという想いを表した。

同社は、ブランドメッセージである“Town Value-up Management”の通り、建物の一つ一つではなく、“まち”全体を考え、生活者の価値創造に取り組む。東急グループ企業と積極的に連携し、中大規模木造を提案の選択肢に加えることで、生活者の心を満たす街づくりに取り組んでいきたい考えだ。

同社の2018年3月期の完成工事高は3107億円。内訳は建築事業が2368億円、土木事業が738億円。

建築事業においては、これまで「大規模なホール」や「駅」、「教育・保育施設」といった木造建築を建築しており、中大規模木造に関する豊富なノウハウを有している。また、住宅事業も展開しており、住宅事業部が中心となり、戸建て分譲の建設などを請負う。東急沿線を中心に累計2万棟以上の木造住宅を建設するなど豊富な実績を持つ。

近年も年間400棟強の木造住宅を建設し、2018年の木造住宅の完工高は約60億円に上る。しかし、将来的に、人口・世帯数の減少により、戸建て市場の減少が見込まれる。そこで中大規模木造市場へ本格参入することで、住宅事業の落ち込みをカバーし、新たな成長軌道を描きたい考えだ。

中大規模木造を推進する木造建築事業部の浅井透設計部長は、「環境ニーズの高まりから、持続可能な資源として木材が注目され、また、日本では本格的な利用期を迎えた国産材活用を促す環境整備が進み、今後、中大規模木造市場拡大が見込まれる。ゼネコンとしていち早く中大規模木造市場に参入し、体制を整備することで、先行者利益を確保したい」と話す。

木造建築事業部では、木構造の優位性を活かしやすい保育園やサ高住などを中心に事業を拡大し、3~4階建て、3000平方メートル規模の建築物をターゲットに木造化を推進していく計画だ。

また、木造だけに固執するのではなく、ゼネコンの総合力を発揮して、S造やRC造と木造を組み合わせた混構造の提案を積極的に進める。「例えば、S造に木を足すことで鉄骨の柱を細く綺麗に見せることができる。素材のいいとこ取りをして、適材適所に配置することで、差別化を図っていきたい。当社は、東急沿線の豊富な開発実績から、沿線地域の詳細なニーズを把握している。建て替えなどの需要に対して、S造やRC造の選択肢に加えて、木造を新たな選択肢として提案できる」(浅井設計部長)。

同社の2018年度の中大規模木造関連事業の売り上げは10億円。2019年度に26億円、2026年度に120億円の目標達成を目指す。

東急建設は木造建築分野で豊富な建築実績を持つ。写真は、東急池上線の「戸越銀座」駅
慶應義塾大学の志正弓道場。柱なしで大開口を確保した
ナイスと共同開発した木造中空間創出構法「連続斜め梁構法」。6mの規格流通材を利用し8.19mのスパンを飛ばせる

規格流通材を活用して合理化、コストダウンを推進

同社は、木材流通大手のナイスと共同で、規格流通材を活用した中大規模木造の構法開発も進める。

隅角部への火打ち材に相当する斜め材を配置し、斜め材の中間部分から小梁材を掛けることで、6mの規格流通材を利用し8.19mスパンの木造中空間を創出する構法の実証に成功。同社が培ったゼネコンとしての総合的知見と、ナイスの木材流通としての専門的知見により、高価格・長納期の特注材を用いず、材料調達のしやすい規格流通材による木造中空間創出構法「連続斜め梁構法」を確立した。

これは、2012年5月に(一社)日本木造住宅産業協会が公表した「木造軸組工法による大スパン架構の提案」を実証したもの。木造校舎の構造設計標準(JISA 3301)と比較して約20%のコストダウン、約1ヶ月以上の材料調達工期の短縮が可能になる。

そのほか、規格流通材の構造柱の周囲を板材で被覆し、木のあらわしを可能とする準耐火木造柱や、界床および界壁の高遮音化技術、木材の耐候性を向上させる塗料などの開発にも着手している。

「木の軽さという強みを生かす方向で技術開発を進め、ベストな材料の組み合わせを探っている」(浅井設計部長)。

こうした成果、得られた知見を中規模木造に広く適用し商品化することで、合理化、コスト低減を進め、競争力を高めていきたい考えだ。

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特集:

住産業はどう対応する?

社会が大きく変わりつつある。
環境対策は待ったなしの緊急課題で、脱炭素社会の実現に向けた取り組みが急展開している。
少子高齢化は、わが国の人口構成を大きく変え、これまでになかった社会を迎えつつある。
また、地震や台風などの自然災害の激甚化・頻発化は気候変動への対策とあわせ、その対策が強く進められつつある。
さらにコロナ禍は、働き方改革やデジタル化を好むと好まざるとにかかわらず、強制的に進めることになった。
こうしたなかで人々の暮らしも変わりつつある。
生活を支える住産業は、こうした変化にどのように対応していくのか──。
各省庁がまとめた白書をベースに、さまざまなデータを紐解いた。

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