JFE鋼板 業界初、縦継ぎできる 嵌合式立平葺き屋根を開発
低勾配対応の強みを維持し、より扱いやすく
JFE鋼板(小川滿代表取締役社長・東京都品川区)は、業界初となる縦継ぎできる嵌合式立平葺(かんごうしきたてひらぶ)き屋根「ジョイント立平」を開発した。
高い防水性を備え、低勾配に対応できるといった従来の立平葺き金属屋根の強みを維持しつつ、コンパクト化し縦継ぎできる機能を持たせた。
運送の効率化と現場施工の省力化に寄与する屋根材として販売を強化していきたい考えだ。
リフォーム、新築で存在感を増す縦葺き金属屋根
金属屋根は、軽量であり、近年、鋼板自体の耐久性も飛躍的に向上していることもあり、リフォーム、新築それぞれの市場で存在感を高めている。
中でも新築市場で普及が進むのが、縦長の一枚もので、高い防水性を備え、1寸前後の低勾配に対応できる立平などの縦葺き金属屋根だ。その背景には、都市部の狭小地などで敷地面積ギリギリまで屋根と躯体を確保する軒の出が少ない軒ゼロ住宅や、片流れ屋根を採用するケースが増えていることがあげられる。軒ゼロ住宅や片流れ屋根の採用により、「高さ制限をクリアして建築できる」、「居住空間を大きく確保しやすくなる」「よりシンプルな納まりになるため、建設コストを削減できる」といったメリットがあるからだ。
さらに、太陽光発電パネルの設置ニーズの高まりも、低勾配の片流れ屋根の採用増加に拍車をかける。限られたスペースにできる限り太陽光発電パネルを載せ、発電効率を高めるためには、低勾配の片流れ屋根が適している。こうした理由から、おのずと低勾配に対応できる縦葺き金属屋根の採用が増加しているのだ。また近年、縦葺き金属屋根自体も進化し、ハゼ締めが不要で軽く踏むだけで施工が完了する嵌合式のものが主流となってきている。
長距離輸送に不向きなど様々な問題点
一方で、従来の縦葺き金属屋根には、様々な問題点があることも事実だ。
一枚もので長すぎるために、「運送には大型トラックを用いる必要があり、狭い道路は通行できない」、「積載物3t以上の大型車は規制道路を許可なく通行することはできない」、「屋根専用の架台付きトラックは台数も少なく運賃が高い」といった制約がある。長距離輸送に不向きであるため、地域ごとに調達先を設定しなければならない。
また、現場での施工人数が増え、経費もアップする。荷揚げには、長尺の金属屋根が折れないように専用の吊治具を用いるため、クレーンを設置するスペースを確保する必要があるほか、屋根を施工するうえでも、施工者のほかに、補助者を確保し、2人以上で作業することが必須となる。
加えて、それぞれの物件に応じてオーダー生産するため、メーカーには生産前に現場ごとに屋根の長さを採寸して短い納期で対応することが求められる。オーダー生産品であるため、現場での調整が難しく、「設計変更で屋根の長さが変わっていた」、「現場で長さを間違ってカットした」といった事態が生じた場合には、つくり直さなければならないケースもある。
現場での加工作業を不要に1人で従来品同等の施工スピード
こうした中でJFE鋼板は、一枚ものの縦葺き金属屋根材の低勾配対応、施工性などの強みを踏襲したまま、ジョイント機能を持たせた業界初の嵌合式立平葺き屋根「ジョイント立平」を開発した。コンパクト化しジョイント機能を付与することで、従来の長尺の縦葺き金属屋根の様々な問題点を解消する。
屋根の縦方向のジョイント部には、独自の加工、防水シールを施した嵌合方式を採用することで、長尺品同等の高い防水性を確保した。特別な工具を用いることなく現場で簡単に縦継ぎできる。
屋根の横方向の接合部には、従来の長尺品同様、嵌合方式の加工形状を採用。軽く踏むだけで施工が完了する。補助者不要で、1人でほぼ従来の長尺品と同じスピードで施工できる。「従来の縦葺き金属屋根材は、一定の施工スキルが求められるため主に板金施工者しか扱うことができなかったが、ジョイント立平は、瓦施工者で問題なく扱うことが可能」(同社)。
現場への搬入も容易になる。汎用の4t・2tトラック、軽トラックを用いて住宅密集地や狭小地などへの運送が可能となり、荷揚げにもクレーン車は不要で、瓦上げ機などで対応できるようになった。
現場での加工作業も一切不要となる。1 枚の長さを約1 5 0 0 mm~約2000mmの範囲でミリ単位で設定することが可能。調整幅を持たせた「棟包み」と呼ばれる役物を被せることで、微調整できる機能を付与した。JFE鋼板は、数種類の長さのジョイント立平を在庫し、迅速かつ柔軟に納入できる体制を構築した。万一の欠品や傷つきなどのトラブルが発生しても素早くリカバリー対応する。
さらに高耐久フッ素樹脂塗装鋼板を採用することで、優れた耐久性も発揮。30年相当の促進劣化試験でも異常のないことを確認している。既に複数の有力ハウスメーカーに採用されている。
人手不足により、職人や運送事業者が今後さらに減少していけば、将来的に金属屋根材を採用したいというニーズはあっても、運送、施工できないという状況が生まれる懸念が高まっている。
「高い防水性を備え、低勾配に対応できるといった従来の縦葺き金属屋根の強みを維持しつつ、人手不足に対応した新商品として『ジョイント立平』の提案を強化していきたい」(同社)考えだ。
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