働く人達も活き活きとした地域に必要とされる工務店に

(一社)JBN・全国工務店協会 大野年司 会長

  


青木宏之前会長を引き継ぎ、(一社)JBN・全国工務店協会の会長に就任した大野年司会長(大野建設社長)。住宅業界が様々な課題に直面するなか、どのような舵取りを行い、地域工務店の持続的な発展を促そうとしているのか―。

(一社)JBN・全国工務店協会の会長に就任した大野年司会長(大野建設社長)

――会長に就任してから半年以上が経過しましたが。

 2018年2月に青木前会長が亡くなられ、3月の理事会で会長に選出されましたが、あっという間に時間が過ぎたという感じです。青木前会長は、(一社)JBN・全国工務店協会の会長だけでなく、関連する諸団体などで様々な役職を務めていました。それらも同時に引き継ぐことになり、まずは求められている役割などを一から勉強させていただきました。また、(一社)住宅生産団体連合会にも加盟しました。

 それまでは副会長として、縁の下から青木前会長を支えてきたわけですが、実際に青木前会長の代わりを務めるなかで、その大変さを実感しました。

 青木前会長のこうした活動のおかげで、当協会の業界その他での存在感も高まり、(一社)JBN・全国工務店協会の今があります。

 関係機関とお話をするなかで、当協会に対する期待度の大きさも感じました。「地域工務店による地域工務店のための業界団体」として、これからもこうした期待に応えてゆくつもりです。

 いろいろな団体から当協会に求められる役割をしっかりと認識して、当協会の役員共々引き続き関係機関との協力体制を構築してゆきます。

地域のお客様のために仕事をすることが地域工務店に求められる役割

――各地域ブロックの会議にも精力的に参加したそうですね。

 現在、北海道・東北ブロック、関東・甲信越ブロック、東海・北陸ブロック、近畿ブロック、中国・四国ブロック、九州・沖縄ブロックという6つの地域ブロックがありますが、全てのブロック会議に出席しました。 各ブロックでそれぞれの地域の状況などを耳にするなかで、地域工務店の存在価値、その役割を再認識させられました。

 2018年は自然災害が多発した1年でしたが、災害で住宅に被害が発生すると真っ先に駆けつけて、応急処置や修理にあたるのが地域工務店です。本当にそれぞれの地域で、必死になって住宅の補修などにあたっています。その姿に頭が下がります。

 個人的な事例で恐縮ですが、私が社長を務める大野建設は埼玉県行田市で111年にわたり家づくり、建物づくりの事業を行って来ましたが、とにかく地域のお客様のために仕事をすることを大事にしてきました。地域の方々から仕事をいただき、地域の方々のために仕事をする―。それが信頼につながり、結果として111年も会社が存続できたのです。

 先代から「事業を急いで大きく伸ばす必要はない。代々続く会社にせよ。会社を永続させて地域の皆さまの役に立て」と教えられました。

 いずれにしても、永年にわたり地域のお客様に仕事を通じお役立ちすることこそが、地域工務店に求められる役割であり、それが経営の安定にもつながるのではないでしょうか。

 しかし、地域のために仕事をしていくためには、人的な問題が非常に重要な課題になってきます。

課題は人材不足
大工の社員化以外の方策も

――人的な問題とは。

 協会として数年前より、大工・職人を育成していくために、社員化を奨めています。

 当社も大工の社員化を昔から行っており、16歳で入社して68歳の今も勤めている大工さんもいるほどです。しっかりと有給休暇を取得するように指導をしたり、昔から社会保険などの保険関係も完備しています。定年退職したある84歳の職人さんから、「年金をもらえて本当にありがたい」と今も言われていますが、しっかりと年金がもらえている大工さんは全国的には少ないのではないでしょうか。

 社員化を行うことで、大工さんの雇用環境は大きく改善されます。それは経験からも分かっています。雇用環境を改善しないと、若い人材は入ってこない。だからこそ社員化が必要なのです。

 今後も協会として社員化を推奨していく方針は変えません。ただ現実的には、社員化に踏み切れない企業が多いことも事実です。

 社員大工を育成するためには、若い人材だけが入社しても難しい。技能を教える人が会社内にいないからです。つまり、まずは中堅やベテランの大工を社員として採用し、その後に若い人材を獲得する必要があるのです。

 当協会の会員のうち約65%が売上高3億円以下の企業です。このくらいの規模の工務店が新たに2名の社員を抱えることは、簡単な話ではありません。

 こうした状況を踏まえて、社員化以外の選択肢も考えていこうとしています。例えば、将来的に会員が協力して大工を育成する専門学校を設立してはどうかという意見もあります。まだまだ具体的な議論も行っていませんが、ひとつの方法としては将来的に可能性があるかもしれません。

 その一方で、跡継ぎの問題などで廃業する会員がいる場合、同じエリアの工務店が事業を引き継ぐような仕組みが出来ないかとも考えています。廃業する工務店のお客さまや社員などを引き継ぐことで、地域の方々も安心します。こちらも、まだアイデア段階ですが、早急に検討したいと考えています。

――今後に向けた抱負をお願いします。

 家を建てるという仕事にやりがいを見出せるような状況を再び作りだしたいですね。ひと昔前の小学生に将来なりたい職業を聞くと、「大工さん」が上位に入っていた時のように。この際、私達工務店会員間で切磋琢磨して、各社が人材育成できる魅力ある業界にしていきたいですね。

 そして全国各地で頼りにされ、必要とされ「ありがとう」「これからも頼みますよ」と言われる地域工務店をたくさん残していきたいですね。「山椒は小粒でピリッと辛い」という言葉のように。そこには地域で素晴らしい循環ができ、そこに働く人達も活き活きとしている素晴らしい地域工務店像の実現を目指してまいります。

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