2018.11.21

プランターにIoT技術を搭載

手軽な植物の栽培を通して豊かな暮らし・コミュニティづくり

最近話題を集めている製品のひとつに植物の栽培をIoT技術でサポートするプランターがある。遠隔で水やりができるなどの賢い機能が暮らしを豊かにする。コミュニティの醸成を進めようという動きもある。

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プランターへのIoT技術の導入が進んでいる。

プランティオ(芹澤孝悦CEO・東京都渋谷区)が提供する「Smart Planter」は、野菜や果物の栽培を前提に開発されたもの。自然環境がプランター内で再現できるよう設計されており、本体に搭載されたセンサーデバイスが土壌水分計、土壌温度計、日照計、外気温計として機能し、土中や周辺の環境を計測。収集したデータをもとに専用アプリを通じて「土がしめっているので今日の水まきは少しでいいでしょう」といった栽培をサポートする情報を提供する。

パーソンリンク(葛山宏樹代表取締役CEO・東京都渋谷区)は、インターネットを介して遠隔で植物の水やりができるDIYキット「hacot」を提供している。社員から「長期外出時に観葉植物の水やりができない」という悩みが出たことを機に、遠隔操作ができるプランターの開発に着手した。

hacotは専用プランターの土の状態をセンサーで感知することで、給水タイミングをアプリで知らせるという仕組み。通知を受け取ったユーザーは専用アプリのボタンを押すだけで給水を行う事ができる。全自動ではなく、専用アプリによって水やりができるようにすることで、ユーザーに育てる意識を持たせているという。同社は量産体制を整えることで提案を強化したい」と話す。

パーソナルリンクが提供するHacot。アプリによって水やりができる

NTT東日本は賃貸住宅に試験導入も

豊かな暮らしの提案やコミュニティの醸成など、すでに活用の幅は広がりつつある。

NTT東日本の「IoTプランター」は、センサーが取得した温度や日当たりなどの情報、カメラが自動で撮った画像に基づき、AIが利用者のスマホに助言を送るというもの。植物の栽培を通した豊かな暮らしを提案するとして、9月に完成したパナソニック ホームズのIoT住宅「スマート・グラン荻窪」に試験的に導入されている。2019年中に本格的なサービスの提供を開始したい考えだ。

プランティオはSmart Planterを使ったコミュニティの醸成を目指している。専用アプリとスマートプランターを連動させると、近くに住むほかのユーザーと、栽培体験を共有できる。アプリで「スナップエンドウがたくさん採れました。先着5人に差し上げます」といった告知をすることで、ユーザー同士が収穫物を交換することも可能だ。

IoT技術を搭載したプランターの開発は日本では始まったばかりであるが、「米国などでは多くの人が暮らしに取り入れている」(メーカー関係者)という。IoTプランターは暮らしにどのような効果をもたらすのか。メーカーの製品開発への期待が高まっている。