住まいの価値を表示し、保証する

(一社)長寿命住宅普及協会 風間健会長


目的はメンテ・リフォームで住まいの価値を担保すること

先に発足した(一社)長寿命住宅普及協会が大きな注目を集めている。質の高い住宅を「Best Value Home住宅」として認定し、新築段階からその価値を表示し、その価値を保証する。活動の狙いや工務店による取り組みの意味などについて風間健会長に聞いた。

(一社)長寿命住宅普及協会 風間健会長

──協会設立の経緯から教えてください。

2009年に、それぞれ強い想いを持って住宅づくりに取り組む工務店が集まり「元気会」を発足し長期優良住宅を標準化するための勉強などを開始しました。集まった工務店は、地域密着型で、本当にしっかりとした住宅をつくり、メンテナンスも行っています。しかし、それが消費者になかなか伝わりません。消費者に理解していただくためには、自分たちの資産としての形が見える必要があると「住宅の価値」に着目し、本当によい住宅をつくり、きちんとメンテナンスをしたらこうなるんだというルールづくりに取り組みました。2016年度に国土交通省の「住宅ストック維持向上促進事業」の採択を受けて行った2年間の研究が、今回の(一社)長寿命住宅普及協会の設立、また、事業の柱である「長寿命住宅認定(Best Value Home住宅の認定)」につながりました。

私たちの取り組みを消費者にしっかりと伝えたい、しっかりとした維持管理やリフォームの重要性を消費者に理解いただくことがストックの価値向上につながる、という想いで協会を立ち上げたのです。

工務店一社だけでは、いくら頑張っても限界があります。しっかりと地域に根差し、ちゃんとした住宅をつくっていこうと考える工務店が集まることによって発信力も高まります。住宅業界のなかで差別化を図っていくためにも情報を発信していくことが非常に重要になってきていると思っています。

──維持管理などを踏まえた住宅の資産価値の向上については、「スムストック」などがありますが、「Best Value Home住宅」の特徴はどこにありますか。

基本的には、スムストックの工務店バージョンなのですが、まず、新築の時点で価値を保証することによって、居住者と一緒になって、居住者の気持ちを盛り上げながら維持管理を進めるというところが大きなポイントです。地域密着型の地域工務店ならではの特徴と言えます。

もう一点、スムストックは流通する時になって初めて価格が見えます。我々は最初から維持管理を軸足に置き、最初から価値を表示しています。そこが大きな違いです。

ただ、正直、「価値保証」という言葉のインパクトが大きく、一人歩きしつつあるような気がしています。我々の想いは、消費者に維持管理やリフォームの大切さを分かって欲しいということです。建てた我々だけではなく、住んでいる人たちも一緒になって家をメンテナンスし、リフォームすることで資産価値が担保でき、素晴らしい既存住宅が残っていく、それを知っていただくことが一番の目的です。そのために「価値表示」をするわけですが、その住宅が流通した時にはその価値を保証しますよという制度が「価値保証」です。ですから「価値保証」は、どちらかというと二次的なものなのです。

もう一つ、懸念しているのは、我々が価値保証をするのであれば、最初から低い価格で売ってしまおうという不動産仲介事業者が出てくることです。安い価格設定にすればすぐに売れますから。我々が最終的に目指すところは、その住宅をつくった工務店が不動産流通までしっかりみること。つまり宅建業の許可を持つ協会の会員内でネットワークを組み、「Vest Value Home住宅」を流通させる。住宅をつくり、維持管理を手がけた工務店が将来の流通時に購入者に対してちゃんと説明ができ、後々の面倒も見ていくという形です。これが本当の地域密着ではないかと考えています。

──査定価格の算出には住み心地なども評価軸に入れています。

地域で頑張っている工務店は、長期優良住宅の基本性能のレベルは当たり前に実現しています。その他に、例えば、パッシブ工法を採用するなど居住環境を良くするために、それぞれの工務店がさまざまなアプローチを取っています。その良し悪しなどの比較は絶対にしませんが、住宅は単にモノとしての価値だけでなく、そこで生活する価値があることも盛り込みたかった。ですから、付加価値としての項目を加点要素として設けています。

もう一つ、例えば、床材で塩ビ系のものと無垢材の違いです。住み心地の面では全然違いますから、塩ビと無垢材では耐用年数を変えてプログラムを作っています。

こうした住み心地への取り組みは、工務店ごとの特徴や個性だけでなく地域差もあります。ですから、それぞれの工務店が打ち出している要素をちゃんと盛り込めるように細かく設定しています。

──直近の活動と、今後の計画は。

今年度は、立ち上げたばかりですので、想いを同じくする工務店のネットワークをいかにつくるかが大きなテーマです。現在50社ほどの集まりですが、まずは一つの県で2社程度、計100社程度を目指したいと思っており、その活動に重点を置いています。会員の工務店が持つネットワークを活かして勧誘したり、説明会を開催して新規会員を募っています。

ただ、数も大事ですが、何より協会の趣旨への賛同が最も重要だと考えています。同時に、参加した工務店には、日ごろの仕事のなかで消費者にどのように維持管理の大切さなどを伝えていくか、それぞれに考えていただいています。

今年度、ベースとなる参加工務店を固め、来年度から消費者に対する啓発活動やPRなど、本筋である事業を展開していく考えです。


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