オピニオン |  2018.5.23

泊まれる住まい

全国的に民泊を解禁する「住宅宿泊事業法(民泊新法)」が6月に施行されるのを前に、民泊仲介事業者、民泊代行事業者などの民泊関連事業者が中心となり新市場創出に向けた動きが加速している。民泊解禁は、端的にいえば、これまでの旅館やホテルというカテゴリーではくくれない、住宅を活用する新しい宿泊施設の選択肢が増えるということだ。ただ、新法により規定される民泊には、年間営業日数180日という制限が設けられるだけに、国家戦略特別区域法で規定された特区民泊や、旅館業法で定められた簡易宿所などの選択肢を組み合わせ、いかに収益の最大化を図れるかが問われる。住宅事業者にとっても民泊関連事業者などと連携することで、新しいビジネスモデルを構築することが期待できそうだ。

では、具体的にどのような民泊ビジネスが描けるのか。やはり、民泊が注目を集める理由のひとつである空き家・空き室の有効活用という面で、住宅事業者のノウハウを活かせるだろう。実際に、住友林業は、民泊仲介の百戦錬磨と業務提携し、住友林業が古民家などを改修し民泊施設として活用しようという取り組みを始めている。

一方で、空き家・空き室の活用だけに民泊ビジネスの可能性を限定してしまうのはもったいないのかもしれない。民泊ビジネスのコンサルタント業務を展開するオックスコンサルティング代表取締役の原康雄氏は、「既存住宅をリノベーションして民泊活用するよりも、立地条件などを考慮して、特区民泊や簡易宿所として民泊施設を新しく建てた方がほうが収益を確保しやすいケースも多い」と話す。とくに特区民泊の許可エリアでは、集合住宅などを丸ごと民泊専用として運営する事例が増えている。実際に、京王電鉄は、特区民泊エリアの大田区蒲田に、新築民泊マンションを整備し、百戦練磨と業務提携して民泊事業を展開している。集合住宅のすべての居室を民泊用として運営するリスクが高いのであれば、ワンフロアだけを民泊用にし、残りのフロアを賃貸にするといった運営方法も可能だ。また、集合住宅に限らず、貸別荘のような戸建住宅を整備して民泊運営していくことも可能だろう。

立地などを十分に考慮する必要はあるが、新しく民泊施設を整備する事業にも、住宅事業者の民泊ビジネスのチャンスが眠っているといえそうだ。

京王電鉄が大田区蒲田に整備した民泊マンション「KARIO KAMATA」。空き家・空き室の有効活用だけでなく、民泊施設を新しく整備していく事業にも、ビジネスチャンスがありそうだ