住宅履歴のデータ活用が本格化
メンテ、資産価値把握、住生活サービスなど提供 住宅履歴情報管理システム普及へ
官民を挙げて普及を進めている「住宅履歴情報管理システム」において、蓄積された住宅履歴データを活用したサービスの提供が本格化していることが、国土交通省が実施している「インスペクションによる住宅情報の活用に関する事業」の最終報告会で分かった。データ活用が進むことでシステムが本格的に普及していく可能性がある。
住宅の建物や設備、性能、建築後のメンテナンス・リフォームなどに関する情報を記録し保存する「住宅履歴情報管理システム」(いえかるて)については、国と(一社)住宅履歴情報蓄積・活用推進協議会(齊藤広子 会長・横浜市立大学国際総合科学部教授)が中心となり普及を進めてきた。協議会の所属事業者・団体などがそれぞれ独自の住宅履歴情報管理システムを構築している。
これまで、システムの運営事業者はまずはシステムへのデータの蓄積に力を注いでいたため、そのデータの活用にまでは本格的に取り組めていない状況だった。だが、データを活用してこそ、住宅履歴を蓄積するメリットが生じてくる。このため、国土交通省はデータの蓄積とともに活用を目指す住宅履歴管理システムの構築へ向けた取り組みを補助する「インスペクションによる住宅情報の活用に関する事業」を2015年度から2017年度まで実施。今回、その成果報告会が行われ、住宅履歴データの本格的な活用に着手した“新たな住宅履歴情報管理システム”の構築が進んでいることがわかった。
例えば、(一社)JBN・全国工務店協会は住宅履歴システム「いえもり・かるて」に、新たに部位の耐用年数に応じて点検が必要になると、住宅所有者のスマートフォンにアラートを出す機能を実装。アラートを受けた住宅所有者はスマートフォンで手軽に点検依頼を行える。住宅の部位ごとに点検のタイミングは異なり、住宅所有者の多くはそのタイミングがわからないため、既存住宅のメンテナンスを促す点で利用価値は大きそうだ。また、住宅履歴情報に基づいて住まいの資産価値を把握できる「住まいのバロメーター」という機能も搭載。定期点検を実施した場合と、非実施の場合、長期優良リフォームを実施した場合で、どれだけ資産価値に差が出るかをグラフで見られるようにしている。
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