2016年度、 注文住宅の約1割がZEHに
事業者間で取り組みに差も
(一社)環境共創イニシアチブ(SII)の調査によると、2016年度のネット・ゼロ・エネルギー・ハウス(ZEH)の普及実績は注文住宅の約1割だった。その一方でZEHビルダーでもZEHの実績0%という事業者が6割を超え、特定の事業者が多くのZEHを供給している状況が明らかになった。
(一社)環境共創イニシアチブ(SII)が2017年11月に「ネット・ゼロ・エネルギーハウス支援事業 調査発表会2017」を開催、2016年度のZEHビルダーの実績を報告した。
ZEHビルダーの登録件数は2017年10月27日時点で累計6236件。このうち実績報告書を提出したビルダー件数は4983件だった。
ZEHビルダーには自社が受注する住宅のうちZEH(Nearly ZEHを含む)が占める割合を2020年度までに50%以上となる目標を設定し、各年度におけるZEHの普及目標を設定することが求められている。
そこで、2016年度の各社の普及実績の割合を見ると、実績0%というZEHビルダーが62.6%を占めた。ZEHビルダーとして登録していても、ZEHの受注がなかったビルダーが6割以上いたわけだ。実績1〜49%が20.1%、実績50%以上というビルダーは7.0%だった。
全注文住宅の75.8%をZEHビルダーが建設
国土交通省の新設住宅着工統計によると、2016年度の新設住宅着工戸数のうち注文住宅(持家)は29万1783戸だった。一方、ZEHビルダーの注文住宅の建築件数は22万1290戸なので、注文住宅の75.8%をZEHビルダーが建築したことになる。
ZEHビルダーによるZEHの建築件数は2万4843件。つまり、注文住宅全体に占める割合は8.5%となる。Nearly ZEH(3.3%)も含めると11.8%と1割を超える。ZEHビルダーに登録していない住宅事業者もZEHを建築する可能性はあるが、ZEHの割合は注文住宅の1割前後と言えそうだ。
普及実績が住宅事業者の間で二極化
2016年度のZEHビルダーによるZEH普及における目標達成状況も明らかになっている。
ZEHビルダーの年度ごとの目標割合から算出したところ、2016年度のZEHの普及目標は注文住宅の場合、2万608件だった。一方、実際にZEHビルダーが建築したZEHの件数は2万4843件。目標を大きく上回る120.6%の達成率となった。
ただ、前述したように、ZEHビルダーのなかでもZEHの実績0%だったビルダーが6割以上を占めている。
それにも関わらず目標を上回る実績を達成できたのは、一部のビルダーが目標を上回ってかなりの数のZEHを建設したということ。
ZEHの実績のないZEHビルダーが多い一方で、実績をあげているビルダーは建築件数も多く、高い普及率をあげているようだ。ZEHビルダーのなかでも取り組みが二極化している様子がうかがえる。
商品・仕様の設定やZEHメリットの訴求が必要
では、実績0%といったビルダーはどうしてZEHを受注できなかったのだろうか。
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