YKK AP ビル用高断熱窓の新商品を発表
開口部の高断熱化を進める
戸建住宅用商品の開発で培った技術を活かし、低層集合住宅向けアルミ樹脂複合窓とビル用樹脂窓を発売する。今回の新商品投入を契機に、ビル分野での高断熱化への移行を促し、アルミ樹脂複合窓と樹脂窓の比率を2020年までに20%まで増やしたい考え。
YKK APは、低層集合住宅向けアルミ樹脂複合窓とビル用樹脂窓の2商品を発売する。同社はこれまで、戸建住宅用の様々な高断熱窓を提案。今年に入ってからもアルミ樹脂複合窓「エピソードNEO(ネオ)」を発売するなど、高断熱化製品の強化を進めている。
一方、ビルの分野では戸建住宅に比べて高断熱化が進んでいない。実際に2016年の同社の窓製品の出荷割合は、アルミ複層ガラスが全体の58%、アルミ単板ガラスが40%で、ビル分野における高断熱商品はわずか2%にとどまっている。代表取締役社長の堀秀充氏は、「当社が出荷するビル用の窓の98%はアルミが占めている。ビルの高断熱化が遅れているのは明らかだ。新商品の発売で、ビル分野でもアルミ樹脂複合と樹脂の割合を2020年までに20%に引き上げたい」と話す。
低層集合住宅のZEH化を促す
国は、エネルギー基本計画で2030年までに戸建や集合住宅を含めた新築住宅の平均でZEHを実現するという目標を掲げている。そこで同社では、戸建住宅のZEH基準を参考に集合住宅でZEHを実現するために必要な外皮性能基準を試算。その結果、集合住宅でZEH基準を満たす外皮性能を確保するには、樹脂複合サッシとLow-E複層ガラスに相当する窓が必要になることがわかったという。
そこで、集合住宅でのZEH化を進めていくための商品としてアルミ樹脂複合窓「エピソードNEO-LB(ネオエルビー)」を発売した。これは、非木造の集合住宅市場の約56%を占める5階建以下の低層集合住宅を対象にした商品。Low-E複層ガラスを使用し、熱貫流率で2.33W/(平方メートル・K)、JIS基準の断熱性能でH-5の高い性能を確保している。気密性が高い集合住宅で発生しがちな窓の結露も、断熱性能を引き上げることで抑制する。同社は現在、5階建以上の集合住宅にも使用できる樹脂複合窓の開発を進めている。2020年度までにエピソードNEO-LBで30億円の販売を目指す。
一方、ホテルや病院、高齢者向け施設などに向けたビル用樹脂窓「EXIMA (エクシマ)37」と「EXIMA (エクシマ)77」も発売する。これは、ビル用基幹商品EXIMAシリーズに新たに追加するもの。JIS基準の断熱性能で最高等級のH-6を備え、樹脂製フレームにLow-E複層ガラスを使用することで、アルミと比べて約1400分の1まで熱伝導率を下げることに成功している。EXIMA37とEXIMA77で2020年度までに3億円を目指している。
今後、エピソードNEO-LBと、EXIMA37・EXIMA77の販売を強化し、現在2%にまで満たないビル分野での高断熱窓の割合を2020年までに20%まで引き上げていきたい方針だ。
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