大東建託、激甚化する猛暑に挑む 建設現場の熱中症対策を1.5億円に強化
大東建託は、2026年4月施行の改正労働安全法衛生法に対応し、独自の暑さ対策と労働安全対策を強化する。業界に先駆け体制を整備しより高いレベルで現場の安全管理を進めていく方針だ。
全国の建設業就業者数は2003年の604万人から2024年には477万人へと約127万人減少した一方で、65歳以上の高齢就業者数は37万人から80万人へと倍以上に増加。さらに、激甚化する暑さが建設現場をより過酷なものにしている。気象庁データによると日本の平均気温は過去100年で1.44度上昇し、2025年の全産業における職場での熱中症死傷者数は統計開始以来過去最多の1681人を記録し、そのうち約4割が建設業と製造業で発生している。
こうした中で、2026年4月から改正労働安全衛生法が段階的に施行される。ポイントは大きく2つある。1つは「一人親方の保護拡大」だ。自社雇用労働者だけでなく同じ現場で働く一人親方や委託先従業員全てを安全管理対象とすることが義務化された。もう1つは「高齢労働者の安全確保」。転倒や墜落などの労働災害増加に伴い、高齢労働者の特性に配慮した対策が事業者に努力義務化された。大東建託では、全国の建設現場に大東建託協力会の登録作業員15万人が日々出入りしており、そのうち65歳以上が約7000人に上るため、より厳格かつ一体的な運用を開始した。
具体的な取り組みとしてまず事業主や職長中心だった「安全大会」を一人親方や従業員も参加する形へ拡大。上期はリーダー層対象の管理体制基盤構築、下期は現場全従業員を巻き込んだ参加型イベントへと段階的に展開する。また、2016年から65歳以上の高齢作業員を対象とした独自の安全教育を実施。電動工具のキックバックによる負傷や足元の段差によるつまずき転倒など、シニア層に多発する労働災害の具体的なリスク要因を検証。客観的なリスク共有により、自身の身体能力の変化に対する「気づき」を促し、現場での安全意識を高める工夫を行っている。
2026年度の暑さ対策については、環境省の熱中症予防情報と連携したWBGT、暑さ指数28以上でのアラートメール受信、現場での熱中症指数計設置による自動警報音発生、外国人作業員向けの多言語ピクトグラムポスターの掲示、全国730台のライブカメラ設置による遠隔リアルタイム監視など、熱中症予防体制を構築。熱中症対策費用は昨年の9000万円に対して今期は1億5000万円と大幅に強化した。また過去の作業実績をもとに工期を算出し、夏は、春、秋、冬より余裕を持った工期を設定している。
作業着も刷新した。新型のペルチェ式ベストは、電流により片面が急激に冷却される半導体素子を内蔵し、首の後ろや両脇に設置できる設計で、立教大学への研究委託により、30分間の運動負荷で皮膚上昇温度を0.5度抑制できる実証結果を得た。昨年は約1500人に配布、今年度は新入社員全員(約70人)に新型を貸与する。夏用作業着も通気性を従来比約2.7倍向上させ、エンボス加工により汗をかいても肌に張り付かない肌離れの良さを実現し、襟元には接触冷感メッシュ材を採用した。

トイレ環境の改善も進めている。昨年10月から国土交通省推奨の快適トイレ導入を開始し、今年はソーラーパネルとミスト噴射装置を搭載したミストファン付き快適トイレを試行運用する。入退室時の体感温度を下げるミスト噴射装置、換気扇搭載、収納ボックス、二重ロック、擬音装置、除菌クリーナーなど様々な装備を設置し、都内2か所の現場で試行設置予定だ。
昨年度、同社の現場では59件の熱中症が発生したものの、死亡者はゼロであった。包括的な暑さ対策と労働安全対策を進めることで、従業員、全作業員含め同社の現場では年間を通して一切事故が起こらない環境を目指す。





