MAAHA CHOCOLATE 田口愛さん 笑顔の連鎖を生み出すカカオ革命

Mpraeso 合同会社CEO 田口 愛さん

肩書は「チョコ好きの大学生」
政府機関との交渉に挑む

帰国した田口さんは考えた。どうすればガーナの人達を笑顔にできるのか―。ガーナの人々は、産業と仕事がないことに困っていた。それなら、ガーナの高品質のカカオを使い現地でチョコレートを製造して売ればいいのでは。そのためには、現地に工場を建設し、ショコラティエを育成する必要がある。やるべきことは決まった。そこから田口さんは勢力的に動く。

日本のショコラティエを訪問し、チョコレートづくりを教えてもらい、カカオからチョコレートを作るワークショップも開催。ワークショップを通じてガーナのことも知ってもらった。

ワークショップなどで得た資金で、ガーナに行き、小さな工房も建設。ついにはガーナ政府の機関との交渉に挑む。

ガーナのカカオ豆は、COCO BOARDというガーナ政府の機関がコントロールしている。COCO BOARDは、農家からカカオを買い取り、販売する。買い取り価格は、重さで均一的に決まる。どんなに高品質のカカオであっても、同じ値段で取引きされてしまうのだ。

結果として、ガーナ産のカカオ豆の評価は下がる。販売価格が下がれば、農家の収入も減る。例えばカカオが100円で売れても、農家が手にする収益は1~2円。販売価格の低下は、農家の家計をさらに圧迫していく。

田口さんも日本のショコラティエにガーナ産のカカオの評価を聞いたが、あまり良い話は聞かなかったそうだ。

そこで田口さんが行動する。COCO BOARDに出向き、高品質のカカオ豆だけを厳選して、付加価値を付けた値段で販売することを提案。当時の田口さんの肩書は、“チョコ好きの大学生”。当然ながら門前払いということも。

「このドアがダメなら、違うドアをノックしてみようという感じで、不思議と足は止まりませんでした」という田口さん。最終的にはCOCO BOARDの説得に成功する。

田口さんは語る。「『私はガーナのカカオが世界で一番素晴らしいと思っている。だから評価が低いことが悔しい』ということを伝えました。相手のやっていることを否定するのではなく、まずはリスペクトする。そのことが大事だと学びました。そのことがよかったのかもしれません。あとはガーナのカカオの値段が下がっていることにCOCO BOARDの方々も危機感を持っていたので、何も利害関係がない私の話に耳を傾けてくれたのではないでしょうか」。

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