New   2025.9.10

睡眠の質は換気で変わる 現行基準の2倍の換気量が必要 

早大・田辺氏などの研究チームが分析

 

睡眠の質を向上するためには、寝室の換気量を現行基準の2倍にまで引き上げる必要があるとする研究結果が明らかになった。

室内のCO₂濃度が高まると覚醒時に眠気や集中力の低下を招くことはこれまでの研究でも確認されていた。ただ、CO₂濃度の上昇が睡眠に直接与える影響については、統一的な結論が出ていなかった。

今回、換気量が睡眠にもたらす影響に関する新たな調査結果を明らかにしたのは、早稲田大学理工学術院教授の田辺新一氏をはじめとする国際研究チーム。研究・分析の結果、寝室の換気状況を示す代表的な指標であるCO₂濃度が1000ppmを上回ると睡眠効率や身体の回復などを促す深睡眠の割合が低下することが分かったという。

また、睡眠の質が低下する可能性を十分に低く抑えるためには、CO₂濃度を800ppm以下にすることが望ましいことも明らかになった。この水準を満たすためには、現行の住宅換気基準の少なくとも2倍の換気量が必要になる。

これまで住宅の換気は、主にシックハウスや感染症対策、結露防止などの目的で取り組まれてきた。今回の研究は睡眠との強い関連を示すものであり、寝室で目安となるCO₂濃度を提示した点がポイント。睡眠の質が日常生活に影響することを踏まえると、住宅設計や換気のあり方を検討するうえで有用な基礎情報となりそうだ。

なお、今後は実際の寝室を使って実験や調査を継続し、さらに知見を深めていく方針だ。