New   2025.8.22

蓄電コンクリートの開発、東京都が支援

2年で2億円を拠出

 

會澤高圧コンクリート(北海道苫小牧市)とマサチューセッツ工科大学が共同研究を進める「蓄電コンクリート」について、東京都が開発支援を行う。都はこのほど、蓄電コンクリートの開発を「GX関連産業創出へ向けた早期社会実装化支援事業」の支援対象事業に採択した。今後2年間で総額2億円の支援を行う。

蓄電コンクリートとは、蓄電性能を持たせたコンクリート部材のこと。建築材料などとして広く用いられるコンクリートに電気を溜められるようにすることで、建築物や街中のモニュメントなどをエネルギーの貯蔵装置として利用できるようになる可能性がある。

東京都の支援事業への採択に伴い、曾澤高圧コンクリートとマサチューセッツ工科大学では、様々なコンクリート製品に応用可能な中核技術となる「標準蓄電モジュール」の開発を進める。具体的には、蓄電容量が300Wh/m³、100V級の出力を持つ1m³スケールの標準ユニットを試作し、製造性・施工性・耐久性・充放電性能などの観点から、蓄電コンクリートの実用性を評価する。

標準蓄電モジュールの概要図

また、公園などに設置できるよう、蓄電コンクリートを内蔵したベンチ・モニュメントなどの開発も進める。様々な形状に対応した設計・施工方法を検証し、意匠性・施工性・耐久性を備えた商品化を目指す。

さらに、戸建住宅向け蓄電ユニットの開発にも着手する。戸建住宅の床下に蓄電コンクリートを使った専用蓄電ユニットを設置し、再生可能エネルギーの蓄電と自家消費を可能にする住宅モデルの構築を目指す。東京都では、既に新築住宅への太陽光パネルの設置が義務化されているが、昼間に太陽光で発電した余剰電力を蓄えられるようにする算段だ。

戸建住宅向け蓄電ユニット実証実験イメージ

なお、2025年9月25日には、曾澤高圧コンクリートが主体となって蓄電コンクリート技術を使ったプロダクツの企画開発と全国的な普及体制の構築を目指す「蓄電コンクリート工業会」が設立される予定。同社の研究開発拠点「福島RDMセンター」(福島県浪江町)で開催する工業会の設立総会では、標準蓄電モジュールの初号機を公開する。