New   2025.1.22

諸戸の家 代々木上原に10億円超の高級分譲住宅

アーティスト&職人とコラボレーション

 

設立50周年を迎えた諸戸の家(三重県桑名市、松本浩二代表取締役)が、記念プロジェクトとして同社過去最高額となる10億円超の高級分譲住宅「SUPER LUXURY代々木上原の邸宅」を完成させた。

千代田線「代々木上原」駅から徒歩8分という好立地に、敷地面積242.12㎡(73.24坪)、延床面積303.96㎡(91.95坪)の広々とした2階建て5LDKの邸宅を建築した。元々平屋住宅と集合住宅が建っていた土地を2024年3月に取得。同6月に着工し、同12月に完成させた。価格は10億8800万円(税込)で、25年1月19日に販売開始したばかりだが、既に数件問い合わせがきているという。
 
主に東京と名古屋で「一点物の作品」として高級分譲住宅を手がける同社が、創業50年の記念碑的作品として作り上げた。大きな特徴はアーティストおよび職人5人とのコラボレーションだ。「美しさと永遠性に魅了される邸宅」をコンセプトに掲げ、家のあらゆる場所を彼らの作品で彩った。

エントランスやルーフバルコニーの植栽は世界的ランドスケープデザイナー石原和幸氏が手がけた。「緑の扉(グリーンドア)」とコンセプトを掲げ、帰ってきたときにほっと一息つけるような安らぎを表現した。また、玄関前のアプローチには左官職人吉河清人氏が作品を施工した。3色の異なる青を薄く何層も重ねた鮮やかなブルーの模様が重厚感のある外壁にアクセントを与えている。玄関のアートワークを担当したのは、アーティスト大森レイ氏と京表具伝統工芸士の田中善茂氏。大森氏が高さ2.4m、幅2.7mのパネルに繁栄の象徴である龍の絵を描き、その両脇を田中氏が引箔のパネルで引き立てた。漆職人牧野昴太氏は「ひび塗り」という伝統技法を用いた特製のドアをリビングの入り口用に制作した。

かねて協業していた石原、吉河両氏に加え、京都の伝統工芸を住空間に生かす地域商社「京都アンプリチュード」を通じ田中、牧野両氏と、京都で偶然個展を開催していた大森氏とそれぞれ出会いがあり、今回のプロジェクトがスタートした。企画プロデュースを務めた吉川政弘シニアプロデューサーは、「世代を超えて継承する価値を持つ家作りを具現化したのがこの物件といえる。5人の天才たちに魂を吹き込んでいただいた」と話す。

空間全体にも贅を尽くした。「(ホテル)アマン東京のエントランスホールを想像しながら作った」(吉川氏)という天井高3.6mのリビングは上部に障子を、板壁や格子にウォールナットを採用し、モダンさに和の温もりを付与した。家具はイタリアのモダン家具ブランド「モレッティ」で揃え、このリビングの家具のみすべて金額に含まれる。アイランドキッチンや棚もリビングと色と素材を統一。棚の中に、冷蔵庫、グリル、ワインセラー、低温調理機なども収めた。広々とした15畳の主寝室にはシャワールームと特殊照明付きのウォークインクローゼットを備えた。屋上には1mほど高くしたスキップを設け、日々の休息のみならず、屋外パーティーも催せる遊び心のある空間を実現した。ガレージも4台駐車可能の広さを確保した。

富裕者向けの高級建売市場が広がる中でも、この「SUPER LUXURY代々木上原の邸宅」を含む同社の物件はコンセプトの独特さで突出している。吉川政弘シニアプロデューサーは「(他社と)差別化を図るために、コンセプトに力を入れている。1棟1棟にかける労力がすさまじいので、なかなか真似できないと思う」と自信を口にした。

「SUPER LUXURY代々木上原の邸宅」の外観
玄関ホールに飾られた大森レイ氏の龍の作品と、京表具伝統工芸士田中善茂氏の引箔パネル
モレッティの家具で統一したリビング