YKK AP、24年度は増収減益 中国市場や国内ビル事業が好調
国内住宅市場の悪化、アルミ価格の高騰などで収益は悪化
YKK APは、24年度の売上高が前年比105%、計画比98%の5654億円となる見込みであることを発表した。一方で、営業利益は159億円(前年比62%、計画比58%)となる見込み。
海外での販売増、特に中国における中級市場での販売好調や、国内ビル事業の牽引により増収を達成した。その一方で、とくに国内の新築分譲住宅の動きが予想以上に鈍く、また、アルミの価格についてLME価格と日経平均に大きな差が生じ、当初の予想よりも高騰したことで大きな減益要因となった。
同社の堀秀充会長は、「アルミの安価で使いやすい素材という位置付けが変わってきている。さらなる値上がりを考えると事業構造、材料の仕様などを検討しなければならない」とコメント。昨今の円安と地金価格の上昇が予想以上で、アルミの資材価格が以前の倍程度になっていることを受け、事業構造の見直しなどの必要性を示唆した。来年以降は、新商品提案などでこうした厳しい状況下を切り抜けたい考え。
一方、注目度の高い木製窓商品については「価格が高いこともあり好調とはいいがたい。目標にしている30年度に(国内住宅の窓の素材構成比率)20%を達成するためには、中価格帯の商品を用意し戦わなければならない」(魚津彰社長)と語った。
また、アルミリサイクルについては、23年度に四国製造所に国内の溶解炉メーカーと協力して作ったリサイクル専用炉を導入しており、26年度以降に黒部製造所にヨーロッパの技術を取り入れたリサイクル専用炉を導入する予定だ。
2024年はYKKグループの創業90年の節目の年であり、建材事業についても創業65年の区切り。ヘルスケアなど新規事業の稼働や、黒部のYKK AP30ビル竣工、YKK AP技術館の開設など様々な場面で大きなスタートを切った1年であった。山地取締役副会長は「前の60年を振り返ると、東京オリンピックの後からいざなぎ景気が続き、1974年には住宅の着工数が190万戸となるなど右肩上がりの市場環境であった。これからの60年は全てが逆風の中、荒波をどう乗り切るかといった時代が来ている」として、25年を成長の年とできるようにしていきたいと語った。
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