「DLT恒久仮設住宅」が「ウッドデザイン賞2024」の最優秀賞、国土交通大臣賞を受賞
坂茂建築設計、長谷川萬治商店などが共同で取り組んだ建築プロジェクト「DLT恒久仮設木造住宅」が、(一社)日本ウッドデザイン協会が主宰する「ウッドデザイン賞2024」の最優秀賞の一つ国土交通大臣賞に選出された。
同プロジェクトには、家元、(一社)石川県建団連、NPO法人ボランタリー・アーキテクツ・ネットワークなども参加。能登半島地震の被災地 石川県珠洲市に、木造2階建ての応急仮設住宅を合計9棟建設した。国産スギを用いたDLTを箱型にして千鳥に積む箱型ユニットによる仮設住宅だ。DLTは、製材を並べ木ダボで接合した木質パネルで、接着剤は使わずに木材に深孔をあけて木ダボを通すという簡易な方法で製造できる。製造設備が不要で、中小の製材所なども地域材を活用してコストを抑えてつくることができる。
こうしたDLTの特徴に坂 茂氏が着目し、製材をずらして凹凸にダボで固定することにより一切加工せずにフィンガージョイントをつくることを考案。箱型ユニットによるプロトタイプの開発、検証を進めていた実績を踏まえて、「DLT恒久仮設木造住宅」を実際に建てるプロジェクトがスタートした。「DLT恒久仮設木造住宅」は、急仮設住宅の期間が終了したあとでも解体せずに、復興住宅として継続使用できるように計画している。DLTを応急仮設住宅に活用するのは、国内初の事例となる。
今回のプロジェクトでは、応急仮設住宅が目的のため、短期間で木材を調達する必要があったが、断面のサイズが 30mmx105mmという、一般的に流通する製材を用いることで、全国の木材事業者と連携し、石川県産材のほか、秋田材、八溝材(栃木、福島、茨城地域)、紀州材(和歌山)など各地の地域材のスピーディな調達が実現した。
国産材の国産材のDLTを多く使用することで、炭素貯蔵にも貢献する。 DLT恒久仮設木造住宅(1棟分)では、スギ約438本分、ヒノキ約16本分の使用量、炭素貯蔵量では、木材全体で62t-CO2となる。 木材全体で国産木材の使用割合が7割以上のため、国産木材活用住宅ラベルのレベル3に相当する。
(一社)日本ウッドデザイン協会は、「災害対応に必要な短期間での施工、大量の木材調達といった課題に対して、接着剤なしで製造できる技術を応用してその解決を試みた社会提案性の高い作品であり、本賞にふさわしいものとして高く評価した。規格材を使ってパネル化することで、短期間で全国の事業者と連携し木材調達ができる点も有事の際に有効である。また恒久的利用を前提とした設計としており、木材による炭素固定も長期間にわたって実現できる点も時代の要請に応えている。」と評価した。
長谷川萬治商店は、今回の仮設住宅の経験を活かし、将来起こり得る新たな震災の際、国産木材DLTを活用したDLT恒久仮設木造住宅を実現できるよう、各地域の木材事業者・建設事業者との連携と、さらなるDLTの普及を進めて行く考えだ。
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