New   2024.11.22

価格抑えた高品質な規格住宅の開発が加速

AQ Groupは777万円の平屋商品を発売

価格を抑えた高品質な規格住宅の開発が加速している。近年、インフレ環境下で資材価格、労務費の高騰の伴い住宅価格は上昇し続けており、住宅の取得環境が急激に悪化している。こうした環境下で、住宅会社の豊富な知見を生かして設計し、効率的な形状のプランを用意するセミオーダーの規格住宅の開発で、コストを抑えてより高品質な住宅を提供しようとする動きが活発化している。

AQ Groupは、1000万円の注文住宅「AQ HAUS」を2024年3月に発売。約半年で大きな反響があった。約1000件の問い合わせがあり、うち約50件が成約に至った。オンライン完結型で打ち合わせを進めることで広告費と人件費を大幅に削減。また、AQ Group単体で年間約2000棟、FCやグループ企業を含めると年間約5000棟に上る受注があり、その全国にある拠点ネットワークを生かした総合力と購買力で品質を落とさず安価な材料仕入れを実現した。また、中間マージンをなくす「直接施工」、耐震性に優れた外周部(スケルトン)を規格化し、暮らし方に合わせて自在に間取りや内装部分(インフィル)を区分して建てる「スケルトン&インフィル設計」などの様々な経費削減策により価格を抑えることに成功した。さらに、純木造ビルの先進技術から生まれた戸建住宅用の大空間を高耐震で実現する「AQダイナミック構法」を採用するなど、木造建築の研究開発で培った技術を結集することで、単に価格を安くするのではなくハイスペックな住宅を実現している。AQ HAUS事業部 販売サポート課の本山真路氏は、「AQ HAUSは、大手ハウスメーカーの品質をローコストメーカーの価格で叶えたデザインカスタム住宅。年齢層も所得層も偏ることなく様々な方々から問い合わせをいただいている。将来の子育ての資金や、高騰する土地の価格のことなどを踏まえて、また、趣味にお金をかけたいといった要望なども含めて、賢い合理的な選択肢の一つとして注目いただいている」と話す。

24年11月には、AQ HAUSをバージョンアップし完全規格型の「Basic」、「Advance」、また、建物の外周部(スケルトン)のみ規格化し、内部はベースプランをもとに自由設計が可能な「Premium」の3つの新商品を発売した。「Basic」は耐震等級3、断熱等級5の標準プランで、平屋建て777万円(税込)~、2階建て999万円 ~(同)を実現。土間収納、大開口、吹き抜け、コンパクトなど約60のコンセプトプランを用意した。「Advance」は仕様をグレードアップした耐震等級3、断熱等級6のプランで、一部設備をグレードアップすることも可能だ。「Premium」は、耐震等級3、断熱等級6の性能を確保。間取りや設備・仕様などを自由に変更することができる。「Basic」、「Advance」、「Premium」それぞれ、内装仕上げを施主が行う「DIYが可能な“素地の家”」として提供することも可能だ。

一方、ヤマダホームズは24年11月、セミオーダー型規格住宅「Y Limited(ワイリミテッド)」の販売を全国の同社展示場で開始した。約17万棟の施工実績を生かすことで、注文住宅の機能性、デザインなどはそのままに高いコストパフォーマンスを実現、家事をラクにする間取りや家族の団らんを育む間取りなど厳選した人気プランを揃えた。間取りは、2階建てが45パターン、平屋が15パターンから選択できる。また、耐震等級3や断熱等級5など快適かつ安心な暮らしに欠かせない基本性能を標準で確保。最長60年の保証も用意した。

トヨタホームは24年11月、9月に発売した企画型新商品「SINCÉ BiSS(シンセ・ビス)」に勾配屋根タイプを追加した。鉄骨ユニット工法ならではの優れた工場品質と住宅性能、太陽光発電システムや全館空調「スマート・エアーズ」などの標準設備、ZEH対応の高断熱による快適な住まい心地などを備えつつ、企画型商品としての効率化とコストダウンを実現した。発売当初は、フラット屋根タイプの2階建プラン全50プランを用意し、今回、勾配屋根タイプなど40プランを追加し、合計90プランから選択できるようにした。多様な顧客ニーズへの対応力向上を図り販売を強化する。

消費者のライフスタイルや考え方の多様化も進む。ローコストかつハイスペックな規格住宅は、住宅価格が高騰する中において単に低所得者向けの住宅ということだけでなく、“賢い合理的な選択肢”の一つとしても支持を集めそうだ。

AQ Groupが発売した規格住宅AQ HAUSの「Basic」。平屋建て777万円(税込)~、2階建て999万円 ~(同)