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2021.10.6

日本産の工業化住宅を海外へ輸出!? パナソニック ホームズが新たな挑戦

ニュージーランドへ住宅部材を供給 年間1000戸規模目指す

パナソニック ホームズは、ニュージーランドでの住宅部材供給事業を開始する。現地法人と新会社を設立し、年間1000戸規模の住宅部材を供給することを目指していく方針だ。


パナソニック ホームズは、ニュージーランド最大手の建設会社、マイクグリアコマーシャル社とJV会社「NZ Smart Build Technologies Ltd(NZスマートビルドテクノロジーズ社)」を設立する。既にュージーランドでJV会社設立の申請をしており、10月から事業を開始する予定。出資比率はパナソニック ホームズが49%、マイクグリアコマーシャル社が51%。

新会社では、パナソニック ホームズ社製の住宅部材をマイクグリアコマーシャル社に供給し、ニュージーランドにおいて日本の工業化住宅技術を活用した住宅を建築していく。

ニュージーランドの住宅不足を解消 品質向上にも貢献

ニュージーランドでは、10万戸以上の住宅不足が課題になっている。マイクグリアコマーシャル社のCEOであるマイク グリア氏は、「20年以上にわたりニュージーランドでは住宅不足が問題になっているが、現在のニュージーランドの建設方式では住宅不足を解消することは難しい」と語る。

その一方で、雨漏れなどによってカビやダニが発生し、居住者の健康状態に悪影響を及ぼすといった問題も深刻化しているという。さらに日本と同じ地震国であるため、住宅の耐震性能の向上なども求められている。

ニュージーランド政府は、こうした社会課題を解消するための技術を広く公募。パナソニック ホームズは、日本で展開している工業化住宅技術に関する提案を行い、この公募事業に合格した。このことを受けて、2021年1月にはワイカト地方で、マイクグリアコマーシャル社と共同で試作棟を完成させている。

                     ニュージーランドで完成させた試作棟

日本で製造した大型パネルを輸送 リモートで建築指導を行う

試作棟は、パナソニック ホームズの湖東工場(滋賀県東近江市)で製造された大型パネルを使って建築された。この大型パネルは日本でも使用しているもの。F構法と呼ばれる外壁や床、屋根などのパネルを一体化させたモノコック構造の構造躯体だ。パネルにサッシなどを取り付けた状態でコンテナに収納し、船便でニュージーランドまで運んだ。

ニュージーランドの法規制に対応するために、外壁パネルの防水層のほか、通気層への排水機能、窓枠への防水テープなどを新たに追加した。

実際の建築に当たっては、コロナ禍により日本から渡航することが難しくなったため、リモートによる建築指導を実施。マイクグリアコマーシャル社にとっては初めて建設する工業化住宅であったが、日本からのリモートでの建築指導を受けながら、3カ月で完成させることができたいう。

                          試作棟の建設中の様子

ちなみに、ニュージーランドの一般的な住宅の場合、完成までに7カ月ほど要しており、工期を半分以下に短縮することで、住宅不足に解消に大きく貢献することになりそうだ。

政府系デベロッパーが計画する分譲住宅などに部材を供給

両社では、この試作棟の建設を経て、本格的な事業化に向けてJV会社の設立に踏み切った。

新会社では、政府系デベロッパーであうカインガオラ社が計画する分譲住宅などに住宅部材を供給していく。平屋、2階建ての戸建住宅、テラスハウス向けの部材をラインナップし、オークランドなどの都市部や周辺の郊外エリアを中心に供給していく。

                      ニュージーランドで展開する予定の戸建住宅のイメージ
                      テラスハウス用の部材も供給する

パナソニック ホームズの田中一彦 海外事業部長は、「既に複数のプロジェクトが進行しており、近いうちに部材をニュージーランドへ輸送することになるのではないか。できるだけ早い段階で年間1000戸規模の部材供給を達成していきたい」としている。

同じく海外事業部の岩澤成憲 構法開発課長は、「ニュージーランドは地震国であり、四季もある。日本と似ている部分が多い」とし、日本で培ってきた技術の転用に自信を見せる。

なお、部材の製造は今後も日本で行い、ニュージーランドへ輸送していくが、田中 海外事業部長は、「確かに輸送コストがかかるが、物流会社などとも協力することで充分にビジネスとして成立させることができる」と述べている。

住宅メーカーによる海外進出については、デベロッパーとしての業展展開が中心であった。ここ数年は現地の建設会社はホームビルダーを買収する動きが目立っているが、「メーカー」という立ち位置での海外進出の事例はそれほど多くない。例えば積水化学工業がタイに工場を建設し、住宅メーカーとして住宅事業を行っているが、今回の事例のように日本で製造したものを現地に運ぶというモデルを確立しようという取り組みは非常に珍しい。

住宅部材の海外輸出モデルがビジネスとして成立すれば、採算性の確保に苦しむ工業化住宅の製造拠点が新しい価値や役割を持ち始めるかもしれない。工業化住宅の輸出産業化は成立するのか―。目が離せないチャレンジになりそうだ。

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特集:

2030年住宅への設置率6割は可能か
初期費用、条件不利地域へのソリューション

国は2030年に住宅での太陽光発電の設置率6割を目標とする考えを示した。
現状の設置率は1~2割とみられ、非常に高い目標と言える。
100万円以上を必要とする「高額な初期費用」や、十分な発電効率を得るのが難しい「条件不利地域」といった課題があるなか、住宅事業者は設置率6割に向けてどのように取り組んでいけば良いのか──。
住宅太陽光発電マーケットの最前線を追う。

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