2020.10.21

三菱地所ホームが全館空調システムで新商品

医療機器メーカー大手の「深紫外線LED」を搭載

三菱地所ホームは、宮崎大学医学部の試験で新型コロナウイルスの除去効果に有用性があると確認された日機装の「深紫外線LED」などを搭載した全館空調システムを売り出した。新型コロナの影響で室内空気環境に注目が集まる中、全館空調システムを売り込む住宅メーカーが相次いでいる。全館空調システムでは先発の同社が新商品を投入しことで、さらに競争が激しくなりそうだ。

10月20日の記者会見で共同開発した「新エアロテック・UV」の販売開始を喜ぶ三菱地所ホームの加藤博文社長(左)と日機装の甲斐敏彦社長
10月20日の記者会見で共同開発した「新エアロテック・UV」の販売開始を喜ぶ三菱地所ホームの加藤博文社長(左)と日機装の甲斐敏彦社長

今回、三菱地所ホームが投入した新商品「新・エアロテック-UV」に搭載した「深紫外線LED」などを製造・販売する日機装は、血液透析装置で国内50%以上のシェアを持つなどの医療機器メーカー大手。日機装は、「深紫外線LED」の技術を活用した、菌やウイルス、臭いなどを低減し、空間の除菌・消臭に特化した装置「Aeropure」を今年1月に販売している。

このAeropureで使われる同社の深紫外線LEDにつて、今年5月に宮崎大学医学部が実施した試験で「SARS-CoV-2(新型コロナウイルス)」の除去効果に有用性があることを確認。10秒の照射で99.9%のウイルスを除菌できるという。こうした実験結果の影響もあり、「Aeropureは当初想定の数十倍での引き合いがいある」(日機装の甲斐敏彦社長)と明かす。

三菱地所ホームは、こうした日機装の深紫外線LEDなどに着目。「空気の浄化は広い範囲にわたるため一般的には難しいが、家中の空気を一カ所に集めて循環するエアロテックであれば、ユニットを組み込んで使うのであれば相性がいい」と(三菱地所ホーム)と新商品の共同開発に踏み切った。

構造は、エアロテック室内機から伸びるダクト内に、「深紫外線LED」や「エキスパンド光触媒フィルター」で構成された「新・UVクリーンユニット」を装着するというシンプルなもの。エアロテック室内機から冷暖房された空気の中から、悪臭の原因となるアレルゲン・ウイルス・菌を「エキスパンド光触媒フィルター」が捕捉。紫外線照射によって得られる高い酸化分解反応により、分解・除去する。次に「深紫外線LED」から紫外線を照射し、菌・ウイルスのDNAを変性させ除菌する。こうして「新・UVクリーンユニット」で清浄されたクリーンな空気がダクトを通じて、各吹き出し口から吹き出るという仕組み。汚れた空気は室内から排出されるため、窓を開けずに換気も除菌もできる。

従来エアロテックは、紫外線を照射するランプの交換が年に1回必要だった。深紫外線LEDにすることで10年間機器交換の必要もないという。

価格は1システム253万7000円(モデルプラン41.57坪・消費税別)。新築住宅以外にも、リフォームや、リプレイスやエアロテック搭載の新築マンション、エアロテックアライアンス物件へも対応する。

新型コロナ感染拡大以降、室内空気環境への関心が高まっている。これに反応して、各住宅メーカーでの全館空調システムの提案が活発に。医療機器メーカーと組んだ、今回の三菱地所ホームの取組みに対して、他社はどう動くのか。今後の動向に注目が集まる。