基幹システムを全面刷新 情報の集約・業務の標準化をさらに徹底

実践企業に聞くDXツール活用法 エサキホーム (愛知県一宮市)

エサキホーム
総務部システム課 統括課長
今井 学 氏

エサキホーム
総務部システム課
二村 慎哉 氏

愛知県一宮市に本社を置くエサキホームは、愛知県、岐阜県、三重県を商圏として、毎年500~600棟の分譲住宅を販売している。土地の仕入れから造成、建物の設計、工事、そして販売・アフターまでを一気通貫で行うビジネスモデルを構築している点が同社の特徴のひとつ。

エサキホームが販売する分譲住宅は、「ゆとりと暮らす家。」というテーマを掲げ、30〜35坪ほどが標準的な戸建住宅であるエリアにおいて、約42坪・5LDKの住宅を提案している。また、全棟で長期優良住宅の認定に加え、住宅性能評価書を取得するなど、高性能住宅を追求している。

愛知県、岐阜県、三重県を商圏として、「ゆとりと暮らす家。」をテーマに分譲住宅を提供するエサキホーム
スッキリした暮らしを可能にする適材適所の収納
家族が集まってもゆったりと過ごせるようにLDKは20帖以上を基本としている

システム導入から14年が経過し業務実態との差が顕著に

エサキホームでは、2010年にKSKの住宅事業者向けの基幹システム「住宅マネージャー」を導入した。

住宅マネージャーは、2018年に全面リニューアルを行っており、注文住宅、分譲住宅、リフォームなど、あらゆる事業形態に一つのシステムで対応できるようになった。

また、ひとつのシステムで仕入れ土地管理から契約、発注、工程管理、原価管理、アフターサービスなど、あらゆる業務の情報を一元管理することができる。

エサキホームではリニューアル前の住宅マネージャーを導入していたが、徐々に業務実態とシステムのズレが生まれていったという。

例えば、用地の仕入れや工務、営業、アフター、リフォームなどの部門の基本的な情報は住宅マネージャーで管理されていたが、一部でExcelなど別のシステムを用いて管理している情報が存在していた。帳票を個人でExcelで作成したものなどが乱立しているという実態があったそうだ。

工事の進捗管理なども住宅マネージャーではない別のシステムなどを使って行われているケースがあり、例えば設計部門と工事部門ではある程度の情報共有が行われていたが、全社的に情報を共有できていない状況があった。また、それらの別のシステムに関するメンテナンスや改良などを行うことも難しく、新たな手法に転換することが求められていた。

その一方で、リニューアル前の住宅マネージャーの保守サービス期間が2023年10月で終了することもあり、リニューアルしたシステムへと移行することを決定した。

業務ルールを標準化し、個別散在していた情報を「住宅マネージャー」に集約。今後はその情報を活用し、BIへの取り組みも視野に入れている

一気通貫型の事業形態を生かしさらなる業務効率化へ

先述したようにエサキホームでは、土地仕入れから販売までを一気通貫で行っている。そのため、注文住宅などと比較すると業務の標準化を行いやすく、情報を一元的に管理することで得られるメリットも大きい。

新システムの移行に伴い業務フローを整理し、その内容にそって住宅マネージャーを活用していった。例えば、各工程の進捗管理をひとつのフォーマットに集約し、どの部門もそのページで全体の進捗が確認できるようにした。土地の仕入れを行った時点でおおよその竣工時期が決まっており、そこから逆算して設計や工事の大まかなスケジュールを決める。さらに、各部門の担当者が細かなスケジュールに落とし込んでいき、その情報を住宅マネージャーで共有する。

こういった標準化された業務ルールについて、仔細まで住宅マネージャーに集約し、散在していた帳票についても住宅マネージャーからの抽出が可能になった。

また、システムの刷新と共に電子受発注も導入した。住宅マネージャーと連携できる電子受発注システムを取り入れ、協力事業者との受発注業務を電子化していった。以前は月初に請求書の発行などを一斉に行い、月初に渡したり送付したりといった作業を行っていたという。毎月350件もの請求書を処理していたため、かなりの労力が必要であった。導入した電子受発注システムは、協力事業者がスマートフォンで簡単に受注の意思表示から請求などが可能で、多くの事業者が活用。中でも大工に関しては100%が電子受注での取引となっている。

今後は一カ所に集約した情報を活用し、BI(Business Intelligence)にも取り組んでいきたい考えだ。集約されたデータを分析していくことで、経営判断に利用できる指標などを作成することも容易になる。こうした指標をリアルタイムで把握していくことで、経営戦略の構築や商品企画なども考えやすくなっていくだろう。

エサキホームのように、システム導入から時間が経過するなかで、業務実態とシステムの間にズレが生じてしまうケースは少なくないだろう。また、システムも日々進化を遂げており、機能も拡充されている。それだけに、システムを導入して終わりではなく、継続的に業務実態を見直しながらシステムの適切な運用方法を検討し、時には刷新を図ることも検討していく必要がありそうだ。そのためにも本稼働後も気軽に相談でき、アドバイスをくれるKSKのようなベンダーは不可欠だ。