勤怠管理データの入力を徹底し働き方改革とデータ経営の深化を KSK「住宅マネージャー」OBC「奉行Edge 勤怠管理クラウド」

残業時間の上限規制に対応する第一歩

2024年4月、いよいよ建設業界でも時間外労働の上限規制が導入される。これによって原則として月45時間、年360時間が残業時間の上限となる。臨時的な特別な事情があって労使が合意する場合であっても、「月100時間未満、平均80時間、年720時間(月45時間超えは年6回まで)」を超えることはできない。違反した場合、罰則が科せられる恐れがあるだけに、住宅業界でも本格的な働き方改革が求められることになるだろう。
こうしたなか、住宅事業者向けの基幹システム「住宅マネージャー」を提供するKSKでは、財務会計システム「勘定奉行クラウド」や勤怠管理システム「奉行Edge 勤怠管理クラウド」などを展開するオービックビジネスコンサルタント(OBC)との連携を強化し、住宅業界の働き方改革を支援しようとしている。
OBC営業本部営業部東日本ブロック関東支店の簗場治支店長、佐々木祐介 第三チーム長と、KSKビジネスソリューション事業部 住宅ソリューション営業グループの山口靖営業部長に話を聞いた。

オービックビジネスコンサルタント
営業本部営業部東日本ブロック関東支店
簗場 治 支店長
オービックビジネスコンサルタント
営業本部営業部東日本ブロック関東支店 第三チーム
佐々木 祐介 チーム長
KSK ビジネスソリューション事業部
住宅ソリューション営業グループ
山口 靖 営業部長

リアルタイムに残業時間を把握し
事前に超過を抑制

―いよいよ2024年4月から建設業にも時間外労働の上限規制が設けられるわけですが、既に規制が適用になっている他業界はどのような状況なのでしょうか。

佐々木 上限規制の導入とコロナ禍が同じタイミングだったこともあり、多くの企業で残業時間が減っているようです。

ここにきてコロナ禍も落ち着いてきたこともあり、まずはしっかりと勤怠管理を行い、適切なワークライフバランスを図ろうという機運がさらに高まっている印象があります。

山口 我々のIT業界も残業時間が多い業界ですが、残業時間の上限規制が導入されてからは、会社としても残業時間の圧縮に向けて、それぞれの部門の管理者に厳しい要求が来ています。従来は「もう帰るの」という雰囲気があった会社でも、今は「早く帰らないと」という意識に完全に切り変わっています。

建設業は2024年4月まで猶予があったこともあり、これから運輸業と合わせて本格的な働き方改革が求められるでしょう。

簗場 当社で供給している給与計算システムは、おかげ様で様々な業界の方々に広く使っていただいていますが、オプションである勤怠管理のシステムを利用している企業様は2割くらいでした。手作業で勤怠の管理をしていたのでしょう。しかし、働き方改革に関する取り組みが進むなかで、勤怠管理システムも採用している企業様が増えてきています。

恐らく、働き方改革の推進に向けて、勤怠管理の在り方を変えようという企業様が多くなってきているのではないでしょうか。

佐々木 従来のタイムカードなどを用いた勤怠管理の場合、残業時間は給与計算を行う段階にならないと分かりません。そのため、「閉めてみたら想像以上に残業時間が多かった」ということも起こり得ます。

当社の勤怠管理システム「奉行Edge 勤怠管理クラウド」は、ICカードやスマートフォン・タブレットなど、様々な打刻方法を選択できます。そのため、直行・直帰の場合であっても、確実に勤怠管理を行えます。また、その情報をリアルタイムに把握できるので、残業時間の上限を超えそうな社員にアラートで知らせるといったことができます。これによって残業時間が超過することを予防します。

勤怠管理データから
利益や業務の改善点を把握

―ある意味では、適切な勤怠管理は働き方改革の「一丁目一番地」になりそうですね。ただ、住宅業界の場合、直行・直帰も多く、そもそも勤怠管理が適切に行われているのかという指摘もあります。

佐々木 当社の勤怠管理システムでは、工数オプションというものを用意しています。この機能を活用すると、複数の現場を担当している社員の方々が、どの物件に何時に入り、何時に次の現場に移動したのかまで把握できるようになります。

山口 こうした担当者ごとの現場滞在時間などの情報を当社の「住宅マネージャー」に取り込んでいくことで、より正確な利益管理も行えるようになります。

住宅会社の多くは、粗利は把握しているが社員の人件費まで考慮した営業利益までは把握できていないのが実情ではないでしょうか。

その結果、粗利はそれなりに確保できているのに、どうも最終利益が少ないという状況に陥ってしまう。担当社員の方々の残業時間が増えていれば、当然ながら利益を圧縮していきますから。

担当者が特定現場にどのくらいの時間を費やしているのかが分かるようになれば、こうした状況も回避できるようになるのです。例えば、A、B、Cという現場を同時に担当している人の給与が40万円だとすると、勤怠管理のデータに応じてAが20万円、Bが10万円、Cが10万円というようにコストを算出できるわけです。

それだけに、「住宅マネージャー」と「奉行Edge 勤怠管理クラウド」が連携する意味は大きいと考えています。勤怠状況をリアルタイムで把握しているので、残業時間が増えてくると「住宅マネージャー」で、本人だけでなく管理者にもアラートを鳴らすということも可能になります。

さらに言うと、担当者毎に改善すべき点も見えてくるのです。「他の人より移動時間が多い」とか、「特定の現場にだけ多くの時間を使っている」といったことが見えてくるわけですから。

ツール導入前の業務の棚卸し作業が必須に

―住宅業界では、働き方改革を求められる一方で人材不足も深刻化しています。こうした状況を克服する方法はあるのでしょうか。

簗場 我々の提案としては、やはりDXによって効率化が生産性を向上していくことだと思っています。ただ、まずは既存の業務を見直すことが重要です。「この業務は本当に必要なのか」、「もっと効率的な方法があるのではないか」といったことを、業務の棚卸をしながら検討していくことから始めることが肝要です。

その上でデジタルツールを導入して、さらに効率化を図っていくべきだと考えています。

山口 例えば100名の人員で100の成果を出していたとします。人材不足が深刻化し、働き方改革も進めようとなると、これを90名の人員で120の成果を出せるようにしないといけない。

一聴すると無理な話だと思うかもしれませんが、業務の棚卸しを行い無駄な業務を排除し、その上でツールを導入していけば十分に可能です。しかし、業務の棚卸しもせずにツールだけを入れても大きな効果は得られません。

だからこそ当社では、営業段階で色々なお話を聞き、効果が得られるようならシステムの導入を提案するようにしています。また、導入前もニーズと乖離している部分がないかを把握する「フィット&ギャップ」を行いながら、改善点などを継続的に提案しているのです。

佐々木 当社では実際にシステムを導入していただいた企業様の実績などを踏まえて、人事労務業務のベストプラクティスを紹介しています。DXによってどのくらい、人事・労務業務を削減できるのかを具体的に示したものです。これを見ていくと、かなりの業務時間を減らせることが分かります。
 
簗場 人事・労務部門というのは、意外とまだまだ紙の文化が残っています。結婚しました、引っ越しましたといった申請も紙で行い、それを担当者の方々が入力するといったことが行われています。当社のシステムを活用すると、こうした業務を自動化し、会計システムとも連携されるため、データを再入力なども無くなります。

建設業の企業様の場合、営業や工務部門などのフロントオフィスの効率化には注目していても、バックオフィスの効率化を見落としていることが多いのではないでしょうか。実はバックオフィスを効率化することで得られる効果は大きいと思います。

新たな人材獲得のためにも働き方改革を

―建設業界の場合、紙の文化が残っているだけでなく、取り引き業者数も多いので、他の業種以上に支払い業務などが煩雑になる傾向がありますが。

山口 その点については「住宅マネージャー」を活用すれば、発注から支払いまでを一気通貫に行うことができます。

私は住宅会社の方々に「情報をぶつ切れにしないで一気通貫を図りましょう」と提案しています。どうしても受注を取る部門や作る部門の方に注目しがちですが、どうせ情報を入力するならバックオフィスの部分にまでつなげていくことが大事なのです。

逆も同じです。バックオフィスで入力したデータをフロントオフィスで活用することもあり得るでしょう。

もうひとつ言っておきたいのは、2024年問題によって物流業者の方々に今までのような無理を言えなくなるということです。これまでのように「急で悪いけど、明日、現場に納品してくれない?」といった要求が通らなくなる懸念があるのです。しっかりと施工計画を立てて、急な納材や現場まで持ってきたのに工期が遅れているから一度持って帰ってもらうといったことが起こらないようにしないといけません。

いずれにしても、当社としては他社様とも積極的に連携していき、住宅業界自体のDX化に貢献していきたいと考えています。

また、DXによって働き方改革を実現できれば、若い人材も住宅業界に興味を持ってくれるのではないでしょうか。他業界は既に働き方改革に着手しています。人材獲得という点でも、DXによる働き方改革は不可欠なのです。

簗場 どのような業界でも、古い体質のままでは新しい人材を呼び込むことは難しくなると思います。そうなると企業が成長していくことも難しくなるのではないでしょうか。当社としては、是非とも住宅業界の方々が継続的に成長できるように、変革のお手伝いをしていきたいと考えています。

佐々木 2024年4月からの残業時間の上限規制をピンチではなくチャンスと捉えて、これを契機に古い体質から脱却を図る企業様の後方支援をさせていただくつもりです。住宅業界の方々も我々がお手伝いできることがあれば、是非ともお声がけください。

―2024年4月をひとつの契機として、住宅業界も「時間」とそれに対する対価を意識せざるを得ないと思います。そのためには、勤怠管理の徹底がファーストステップとなり、さらにその情報を蓄積・分析していくと利益管理や働き方の実態把握まで可能になり、データ経営の深化にもつながりそうです。本日はありがとうございました。

株式会社KSK
TEL 042-378-1100
https://www.ksk.co.jp/

株式会社オービック ビジネスコンサルタント(OBC)
TEL 048-657-3426
https://www.obc.co.jp/bugyo-edge/attend