「wallstat」に耐振性のランク付け機能
PV搭載、断熱材の種類による違いも反映
京都大学生存圏研究所は、木造建築物の耐震シミュレーションソフト「wallstat」の機能強化版を開発し、フリーソフトとして公開した。
wallstatは、パソコン上で木造住宅を3Dモデル化し、過去の大地震や想定される極大地震の揺れを与えて挙動を解析できるソフトウェアツール。従来の解析手法では再現が困難だった柱の折損や建材の飛散といった建物がバラバラになっていく様子を緻密に再現できる点が特徴だ。これまでに5万8000件以上ダウンロードされ、工務店やハウスメーカーの実務現場で広く活用されている。
今回の機能強化版では、wallstat上で耐震性能を直感的に理解できる新たな評価指標「ウォールスタット・グレード」を導入した。これまでのwallstatではアニメーションで倒壊の有無・損傷の大きさを示していた。グレードを新たに導入することで、地震による建物の変形具合と階高の相関(層間変計角)に基づいて、建物の耐震性が瞬時にわかるようにした。損傷が軽微な状態を示す「S180」から、倒壊に至る「S30」未満まで変形の状態に応じてランク付けしている。

これにより、実務設計者が目標とする耐震性能をグレードにより定めたり、消費者が木造住宅の耐震性能を比較することが容易になる。
また、機能強化版は2025年4月に施行された改正建築基準法に対応している。改正法の施行により、木造住宅の必要壁量を算出する際、建物の重量をより厳密に計算することが求められるようになった。
機能強化版では、重量算定機能が拡充され、太陽光発電パネルの搭載有無や断熱材の種類の違いなどが建物重量に与える影響を詳細に反映できるようになった。これにより、改正基準に則した適正な必要壁量の計算が可能となり、実態に即したより正確な耐震シミュレーションが可能となる。
そのほか、構造計算機能の強化も実施。柱や接合部にかかる応力が基準値を超えていないかなどを網羅的に確認できる計算シートの出力ができるようになった。
今回の機能強化によりwallstatのさらなる普及が期待される。
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