New   2025.7.9

熱中症の4割が宅内発症 日本サッシ協が注意喚起

窓リノベで万全の対策を

 

熱中症の発生場所として最も多いのは住居内で、約4割となっていることを受け、(一社)日本サッシ協会が窓リノベによる対策強化を呼び掛けている。

気候変動などの影響により気温が上昇し、日本の夏はもはや人命を脅かすほど危険なものになった。熱中症警戒アラートの発令回数をみると、2024年は1722回で過去最多。21年比では約3倍に急増している。また、総務省消防庁のデータによれば、直近4年間で熱中症によって救急搬送された人の数は、2021年が4万7877人だったのに対し、24年は9万7578人と2倍以上に膨れ上がった。

搬送された患者がいた場所として最も多かったのは「住居」で38%。2位の「道路」(19%)の2倍と非常に多い。3位以下は、「公衆(屋外)」(13%)、「仕事場」(12%)と続く。つまり、安心・安全であるべき自宅で熱中症を発症するリスクが高いことが分かる。

同協会資料より引用

室内で熱中症を発症するメカニズムは、大きく環境要因と身体要因の2つ。環境要因では、主に窓をはじめとした開口部から熱が侵入し、室温が上昇する。加えて、日中に窓や外壁、屋根から吸収された太陽熱が夜間にかけて室内に放出される蓄熱現象が発生し、夜間でも室内の温度が上昇する。

一方、身体要因では、高齢者を中心に体温感知・調節機能の低下などによって、気付かないうちに脱水状態に陥っている場合が多い。

こうした熱中症の予防にはエアコンの適切な利用が欠かせない。しかし、日本の既存住宅の約7割の窓は、アルミサッシ+単板ガラスとなっており、冷房効率が悪い。開口部は熱の侵入口であるだけでなく、熱の逃げ道でもあるわけだ。

そこで、日本サッシ協会は「窓リノベで実現する快適な夏」と題し、エンドユーザー向けに窓リノベの重要性や光熱費削減効果、リノベに使える補助金の紹介といった情報発信を強化している。

例えば、先述したアルミサッシ+単板ガラス窓の熱貫流率(UW値)は6.51(W/㎡・K)程度だが、高断熱窓(樹脂サッシ+Low-Eトリプルガラス)に変更することで、これを約7倍に引き上げることが可能だ。

また、関東~九州が該当する断熱地域区分6地域の戸建住宅において、すべての窓を高断熱窓に改修した場合の光熱費削減額の目安は、 概ね2.2~2.7万円/年程度としている。

住宅内の熱中症は身近な脅威であるが、窓リノベはその対策としての認知度が低い。2025年の夏も本番を迎えつつある今、窓リノベによる万全の熱中症対策の普及が期待される。