貧乏ばあさん(BB) から脱出の道筋を
樋口恵子さんが未来の日本にさらなる警句
今、日本記者クラブは『平成とは何だったのか』と銘打った会見を各界から有識者を招いて実施しているが、4月2日に登壇したのは、女性問題や高齢者問題でその名を知られる評論家の樋口恵子さん。読売新聞での人生相談の名回答ぶりなどは今も語り草だ。樋口さんは言う。「1989年(平成元年)から始まった10年は‘‘失われた10年‘‘から‘‘創造の10年‘‘だった」。女性の地位向上、雇用機会の均等、女性活躍社会推進──等々、制度的に女性問題は大きく前進した、というわけだ。その意味では総じて、平成は良い時代と言えると自らの活動をも振り返って感無量の表情を見せる。
だが、だからと言って、いま満足のいく状態にあるという訳ではなく、むしろ未来への心配の種は尽きないと言った面持ちだ。
その一つがBB問題。つまり、「貧乏ばあさん」問題だと言うのだ。高齢社会へ突き進む中、女性の単独世帯は増え続け、老いたおひとりさま女性は男性の2倍に。しかも、おひとりさまの収入は男性が年収180万円以上が60%強、300万円以上も30%近くなのに、女性は180万円以上は45%、120万円以下が男性17%に対し、女性は24%と男女差は歴然としている。
だが、これまで高齢女性の貧困が見えにくかった。というのも、サラリーマンの妻に適用される国民年金第3号被保険者がかなりの人数(現在878万人)を占めており、高齢女性の急激な貧困化の防波堤となってきたのがこの『第3号』。何はともあれ夫の被用者年金の4分の3という遺族年金が長い女性の老後を支えてきたのだ。ところが今、未婚、非正規、無職の中年女性が増え続け、非婚、非職のまま老いようとしている。老後に現在約40万人と言われる『無年金者』の仲間入りする危険が極めて高い。被用者である男性の年金によってカバーされていた第3号被保険者の女性は目に見えて減少する。老いたBB時代の到来と樋口さんは指摘し、警告する。
『高齢女性がどれだけ時代に対応した自立能力を身に着け、支えられ上手な人間として老いを生きるか』。その鍵を握るのはBBから女性たちが脱出する道筋を作ることだと樋口さんは喝破。人生100年時代、高齢女性のための就労機会の創出、能力開発の重要性を力説する。
「令和」の新時代へ。まだまだ樋口さんの出番はなくならない。樋口さんの「創の時代」は続きそうだ。
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