毎勤調査報告にオール「F」の不合格評価 お目付け役、第三者格付け委に脚光
厚労省の「毎月勤労統計」不正調査問題で一躍脚光を浴びたのが、『第三者委員会報告書格付け委員会』なる存在だ。大企業の不祥事が相次ぐ中で信頼を失った経営者側の弁明に代わって第三者委員会を設けるケースが増えている。だが、その調査報告書がともすると免罪符となり、それでよしとする風潮がなきにしもあらず。そんな見せかけ第三者委のお手盛り報告書に監視の目を光らせているのがこの格付け委だ。任意組織だが、弁護士、公認会計士、ジャーナリスト、大学教授らが名を連ねる。社会的価値や影響力の大きい第三者委報告書について委員構成の独立性、中立性、専門性など10項目に渡る評価ルールに基づきメンバーが評価する。最近では、『東京医科大・入学試験の不適切行為』『日大・アメフトの反則行為』などがあり、今回の厚労省の毎勤統計に絡む特別監査委の報告書は20件目。
その結果は、何と格付け委員の9人全てが不合格とする『F』評価を下し、委員長の久保利英明・弁護士は「最低、最悪の報告書」と切って捨てた。格付けはA、B、C、Dの4段階評価で行われるが、「F」は評価に値しないというレベルだ。日本記者クラブの会見でもメンバー全員がそれぞれに不合格の理由をコメント。記者からは失笑も。ちなみにこれまでのF評価は1件と言う。格付け委は結論として、「新たな調査委員会を組成し、調査をやり直す必要がある」と断じた。
同問題はこれからも国会の場でも尾を引きそう。不正、隠蔽の言葉も飛び交うだろう。そうした意味で目を引いたのがメンバーの中央大教授・野村修也氏のコメントだ。野村教授は「厚労省はこれまで年金記録問題、標準報酬月額の遡及改ざん、日本年金機構サイバー攻撃などいくつかの不祥事についての第三者委は委員構成を含めて適切な方策がとられてきた。それなのに今回の調査がなぜこのようになったのか疑問が残る」と語っていた。そう、野村氏の疑問は確かに誰もの疑問と言ってもいいだろう。
毎勤調査問題は、いよいよ基幹統計をはじめとする統計のあり方についての本来的な議論に入っていくだろう。統計の不信は国家の不信に繋がる。世界から、日本がF評価されるのだけはご免蒙りたい。
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