トーヨー建設 東京都葛飾区に3階建の木造保育園を建設
梁受け金物を活用し最大長さ6mの大空間を実現
トーヨー建設は、中大規模木造市場の開拓に本格的に乗り出す。その一環として、このほど東京都葛飾区で3階建の木造保育園の建設に着手した。一般流通材を活用することで建設コストを抑制するとともに、梁受け金物を効果的に活用することで最大長さ6mの大空間を創出した。
中堅ゼネコンのトーヨー建設(岡田吉充代表取締役、東京都葛飾区)は、東京都葛飾区で、木造3階建の保育園「立石保育園」(845・41平方メートル)の建設に着手した。
同社では、木のぬくもりが人の健康面や精神面に良い影響を与える点に着目し、建築主に対して保育園や老健施設などを木造で建設する提案を強化している。
木材を積極的に活用しようという国の施策の後押しもあり、建築主の理解を得られやすい状況が生まれてきているという。ここ5年ほど、年間5~6件のペースで、600平方メートルを超える中大規模木造建築を手がけている。
同社ではオープン工法や、一般流通材を用いて中大規模木造を建てることで、建設コストの低減にも取り組んでいる。
「職人不足や材料費の高騰などを背景にRC造やS造に比べて、木造とすることで、工期の短縮、建設コストの削減効果が期待できる。躯体自体のコストを下げられるほか、躯体の軽量化により、杭や基礎周りのコストを低減できる」(同社)。
梁受け金物2個使いのせん断耐力データを明確化
立石保育園の建設に当たっては、建築主から「園児が伸び伸びと活動できるように、できるだけ柱のない大空間がほしい」という要望を受けた。同社では、BXカネシンが販売する梁受け金物「プレセッターSU」を効果的に組み合わせることで、この要望に応えた。
中大規模木造建築では、一般住宅に比べて大きな断面寸法の梁を使用することが多いが、プレセッターSUを1個のみ使用した場合、せん断耐力が不足し、プランの実現が難しい場合があった。特注の金物などを活用することで、大断面の梁に対応することはできるが、コストの上昇は避けられない。
そこでBXカネシンでは、2017年8月、プレセッターSUを2種類組み合わせて使用した際の性能試験をハウスプラス確認検査で実施し、せん断耐力の数値データを拡充・明確化した。これにより、大断面の梁に対応可能となった。立石保育園では、プレセッターSUを2個使いすることで、約80本の大断面の梁を支え、コストを抑えながら最大長さ6mの大空間を創出した。トーヨー建設では、こうしたノウハウを蓄積・活用することで、さらに中大規模木造の案件を増やしていきたい考えだ。
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