日本板硝子 超高断熱真空ガラスを発売
新築住宅やビルリフォームでの普及を狙う
日本板硝子(東京都港区、森重樹代表執行役社長兼CEO)が、真空ガラス「スペーシア」の断熱性能を高めた「スーパースペーシア」を開発した。スペーシア発売以来20周年となる今年10月に販売を開始。主に新築住宅やビルリフォームでの普及を図っていく。
真空ガラス「スペーシア」は、2枚のガラスの間に0.2mmの真空層を設ける日本板硝子独自の技術を搭載した製品だ。各3mmのLow-Eガラスとフロートガラスを使用した場合の熱貫流率は1.4W/(平方メートル・K)。一般的な複層ガラスと比較すると約2倍の断熱性能を実現している。
また、3mmのガラスを使用した場合のスペーシア全体の厚さは6.2mm。一般的な既存の1枚ガラス用サッシの障子に収められる厚さであるため、開口部の断熱リフォームにも最適な商品として、市場での評価を得ている。
スーパースペーシアでは断熱性能を大幅に向上
スペーシアで特に注目したいのが、真空の中空層を設けている点だ。中空層が真空の場合、ガラスとガラスがくっついてしまうという問題が起きる。この問題を解決するために、スペーシアでは、ガラスとガラスの間にマイクロスペーサーという金属の柱を20mm感覚で設置している。2枚のガラスを支えながら真空層を保つ仕組みだ。ただ、このマイクロスペーサーを通して生じる熱伝導が、製品全体の断熱性能を下げてしまっていた。
そこで日本板硝子は、スペーシアの発売から20周年を記念して、高断熱真空ガラス「スーパースペーシア」を開発した。
スーパースペーシアでは、熱橋となるマイクロスペーサー同士の間隔を28mmに拡大し、スペーサーの設置数を減らした。これによって、マイクロスペーサーによる熱伝導量を抑えることに成功し、各5mmのLow-Eガラスとフロートガラスの構成で熱貫流率0.65W/(平方メートル・K)を達成している。これは、厚さ50mmのグラスウール断熱材と同等以上の断熱性能だという。
また、ガラスを支えるマイクロスペーサーの数が少なくなった分、ガラス同士がくっつこうとする力に耐えられる強度が必要になる。これに対して、スーパースペーシアでは、ガラスの厚さを5mmにして耐久性を確保した。全体的な厚さは10.2mmとなった。一般的なトリプルガラスの熱貫流率は0.89W/(平方メートル・K)で厚さは29mm。スーパースペーシアは、一般的なトリプルガラスの半分以下の厚みで同等以上の熱貫流率を実現している。
「スペーシアで住宅リフォーム需要に向けた展開を継続しながら、スーパースペーシアでは高断熱化を目指す新築住宅やビルリフォーム向けに積極的に展開していきたい」(日本板硝子)としている。
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