オピニオン |  2020.3.9

子ども視点で住まいを改革

子どもを取り巻く環境が大きく変わってきている。小学生からの英語教育義務化やプログラミング教育、大学受験改革、共働きの増加による学童問題……など枚挙にいとまがない。この変化が子育てにも少なからず影響を与えている。創造性を育ませようと自主性や自立性に目を向けたり、生活上の安全に気を配ったりなど。こうした子育ての変化は、住宅業界にとって大きなビジネスチャンスだ。

ミサワホームは子どもの安全を道路から考える

本誌は、子どもを取り巻く環境変化を踏まえ、これまでと違った住まいやまちづくりの提案を“チャイルドイノベーション”と呼ぶ。

積水ハウスは、リビングにあえて段差を付けて提案する。子どもは、この段差に腰掛けたり、この段差を壁に寄りかかったり、下がった空間に寝転んだり、様々な姿勢をとる。感性を磨く上では大切な時期とされている児童期に、「いつもと違った目線でモノを見ることで、子どもの五感や感性を育むことができる」(同社住生活研究所)というのである。

また、大和ハウス工業では、子どもの健全な発育には、ママのストレスは禁物と考える。最近では、こうしたイライラを抑える「アンガーマネジメント」に注目が集まるが、そこはやはり住宅業界、こうしたイライラは「家が悪い」と担当者は言い切る。そこで工夫されるのが家事動線だ。子どもや夫は、使ったものを無造作に置き、家の中を散らかす。そうならないように、帰宅後、玄関からそのままリビングに行かないよう、片付け動線をしっかり引き、散らかさないよう誘導する仕掛けだ。家の中は散らからない、子どもは整理整頓ができるようになる――ママにとってと一挙両得だ。

ミキハウス子育て総研によると、第一子を妊娠した段階で、未入籍のカップルは全体の35%いるという。「とりあえず」で住んだところが、子どもにとっていい環境でなければ、落ち着いた子育てもできない。

初めて子育てをする夫妻は不安で仕方がない。その不安を除くことができるのが住宅メーカーではないか。住宅メーカーは、これまでに数多くの家族と接してきた。そこで得た知見は相当な数にのぼるだろう。知らないことだらけの夫妻に、子どもにまつわる情報を丁寧に出すだけでも、子育てへの不安が和らぐはずだ。

新米家族を陰で支えながら、子どもの成長を見届けるような住宅メーカーが増えることに期待したい。