先日、経団連のトップがEメールを使うようになったという新聞のコラムが話題になっていたが、この変化の激しい世界において、経済界のトップの行動が前近代的で聞いてあきれる。日本は本当に大丈夫かと思ってしまう方も多いにちがいない。どのくらいの変化があるかと、自動車を見れば自動運転は当たり前、ヨーロッパや中国も将来のクルマは電気自動車にしようと目標を掲げた。自動車の世界だけ見れば、トリッキーな目標にも思えるが、太陽光発電や風力発電がめざましい勢いで増え続け、建物の燃費が改善されている現在、電気が余りつつある。化石燃料でしか動かなかった運輸にかかるエネルギーをその余りぎみな自動車に振り向けようという政策なのだ。全体を見ないと判断を見誤ってしまう。

さて、読者の皆さんは、ヨーロッパはヨーロッパ、日本はアジアなのだから事情が違うと言われるかもしれない。しかし、日本を除くアジアもものすごい勢いで変化している。今年の8月31日・9月1日にソウルで行われたパッシブハウスのアジアカンファレンスに参加してきた。ここでいうパッシブハウスは、ドイツから始まった年間暖房負荷15kWh/㎡の性能を持つ高性能な建物のアジア版のフォーラムである。

それぞれの国でどのくらい、パッシブハウスが普及しているかというと、中国は約5万㎡、韓国約3800㎡、日本約2500㎡、台湾約1900㎡である。

特に中国の環境への適応の速さがピカイチだ。パッシブハウスの5万㎡は住宅に限らず、環境建築の研究所などの建築も含み、オフィスなどが37%と割合が多くなっている。確かに小規模な住宅でやっていくより、大規模なオフィスで試した方が効率が良さそうだ。彼らはパッシブハウスを2 0 2 0 年までに現在の2 0 0 倍の1000万㎡に拡大するとしている。

韓国も2025年に新築をニアリーゼロエネルギービルディングに、2030年には全ての建物のゼロエネルギー化を目指している。実際、韓国のパッシブハウスや建設中の分譲住宅を見学した。施工精度などは日本の方が優れているようにも見えるが、断熱性能は日本よりも優れており世界レベルである。これをどう見よう。日本でパッシブハウスというと、ヨーロッパとの比較で語られることが多いが、アジアの中での競争でも、大きく水をあけられている。

写真は韓国にあるエネルギー負荷の小さい新築のエコホテルである

来年は北京郊外のウインドウシティというところで、パッシブハウスの世界大会が行われる予定であるという。世界は大きくパッシブハウスに舵を取り、その中での競争が始まっているのだ。

気候変動に対する対応の仕方は、放置された中での自由な競争ではなく、ある目標を決めてそれに向かっていくバックキャストという方法が主流だ。方向性を決めることで対応力が増し、技術の進化が促され、普及とともに価格が下がることで、さらに普及が促進するという方式である。

さて、日本はというと……。これから小規模な住宅も規制(それも二酸化炭素削減にとって大きな効力のない)をかけようかどうかと検討中の状態だ。先に挙げた経団連の話も笑えない、日本全体が時代遅れになってしまっているように思われる。