(一社)プレハブ建築協会、ZEHの供給率は37%と1割増 強化外皮基準を満たす住宅も半数に

「エコアクション2020」の2017年度の実績を報告


大手プレハブメーカーの環境配慮住宅の取組みが加速している。環境行動計画「エコアクション2020」の2017年度実績報告によると、戸建住宅の強化外皮基準対応は約5割に及び、集合住宅の断熱性能等級4相当はほぼ標準仕様となった。

(一社)プレハブ建築協会の住宅部会が、環境行動計画「エコアクション21」の2017年度実績を公表した。

環境行動計画「エコアクション2020」は、2011~2020年を対象年度とする環境行動計画。
住生活向上推進プラン2020」とともに住宅部会の活動の2本柱であり、「羅針盤の役割を持つ活動の根幹」(中村・住宅部会長代行)と位置付けられている。

「低炭素社会の構築を目指し、住宅のライフサイクルを通じたカーボンニュートラルを推進」など5つの環境行動目標を立て、それぞれに目標管理指標と2020年目標を掲げている。

※120.8㎡の住宅を想定し、省エネ基準Webプログラムにて算出した一次エネルギー消費量をCO2排出量に換算
※本年度より新築戸建住宅及び新築低層集合住宅の居住段階CO2排出量の算定方法を変更、2010年に遡って値を見直した

〈新築戸建住宅〉
ZEH供給は37% CO2排出削減に向けた必須条件

「エコアクション2020」では、ZEH供給率の目標を70.0%に置いている。国の「注文戸建住宅の過半数でZEHを実現」を大きく上回る数値だ。

2017年度の実績は37.1%と前年度比11・7ポイント上回った。「ZEHビルダー制度が2カ年目となり、商品にZEH対応を織り込み始めてラインナップが充実した」(小山勝弘・環境分科会代表幹事)ことなどがZEHの増加につながった。

ZEHへの取り組みが進むなか、強化外皮基準を満たす戸建住宅の供給率も48.1%と同6.0ポイント増と大幅幅加となった。

太陽光発電をシステムを設置した戸建住宅の供給率は55.9%(同0.6ポイント減)の微減となった。買取価格の低下などが原因であるという。

そのほか、高効率給湯器を備えた戸建住宅の供給率は94.4%(同1.3ポイント増)とほぼ標準仕様になり、HEMS等を備えた戸建住宅の供給率は56.8%(同9.8ポイント増)と大幅増加した。

こうしたことから、新築戸建住宅の居住段階におけるCO2排出量(kg-CO2/戸・年)は1404kg-CO2/戸・年となり、2010年比38.8%削減となった。前年は1434kg-CO2/戸・年であり、その推進は足踏み状態といえる。2020年の目標である「2010年比60%削減」に向け、さらなる注力が必要となっている。「60%削減に向けてはZEHの70%達成が必須条件」(小山代表幹事)と、ZEHの取組みを加速する考えだ。

〈新築集合住宅〉
断熱等級4は標準に CO2削減は順調

住宅性能表示制度における断熱等性能等級4相当の集合住宅の供給率は97.6%(同1.3ポイント増)と、ほぼ標準仕様といえるほど普及が進んだ。また、高効率給湯器を備えた集合住宅の供給率は78.1%(同6.5ポイント増)と大きく普及が進んだ。

一方、太陽光発電システム設置の供給率は、買取価格の低下などにより27.0%(同7.1ポイント減)と減少傾向が続いている。

これらの結果、2017年度のCO2排出量は1474kg-CO2/戸・年と2010年比23.6%減。前年よりも72 kg-CO2/戸・年の増加となった。ただ、2020年目標は同25%削減であり、計画を上回るペースの水準を維持している。

CO2排出量削減貢献は後退

断熱改修(窓、屋根・天井、床、外壁、その他)、省エネ改修(エコジョーズ、エコフィール、エコキュート、エコワン、エネファーム、エコウィル、高断熱浴槽、LED照明器具、温水暖房便座)、再エネ導入(太陽光発電システム、太陽熱利用システム)の3つの観点からエコリフォームを推進している。2020年度の目標は、エコリフォームによるCO2排出量削減貢献量62.25千トン-CO2、2015年比25%増を掲げている。

2017年実績は、全体で33.80千トン-CO2と、2015年比33.2%減となった。内訳をみると、断熱改修が2.00千トン-CO2、同7.4%減と微減であるが、再エネ導入が17.43千トン-CO2、同45.4%減とほぼ半減した。再エネ導入については、太陽光発電システムの設置が買取価格の低下に加え、改正FIT制度による認定手続きの長期化などにより大幅な減少となった。一方、省エネ改修は14.37千トン-CO2、同3.8%増と増加している。

住宅産業のカーボンニュートラルを牽引

住宅産業をリードする大手ハウスメーカーの環境に対する取り組みがこれらの数字に表れていると言える。「環境問題について、目標数値を掲げて足かけ20年取り組んできた。かなり効果が出てきていると思っている」(中村代表幹事代行)との言葉通り、住宅業界のトップランナー各社の供給する住宅が、わが国の住宅の質向上を引き上げていることは間違いない。

とはいえ、2020年目標に向けて取り組みを加速させなければならない課題があるのも事実。例えば、戸建住宅、集合住宅、改修を問わず太陽光発電の減速が実績数値を落とす要因につながっている。売電から自家消費へとエネルギー活用が変わっていく過渡期にあるが、再生可能エネルギーの活用促進が大きなテーマであろう。



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