国土交通省は高齢者が死亡時まで安心して住み続けられる賃貸住宅を認可する「終身建物賃貸借事業制度」を活用しやすくする。高齢者が賃貸住宅を終の住処にできるよう環境を整備する。

***

高齢者の賃貸住宅への入居については、死亡時の様々な問題から積極的ではない貸主が多い。だが、高齢者のなかには賃貸住宅へ入居したい人もいる。このため国土交通省は高齢者が賃貸住宅に安心して居住できる環境を促す「終身建物賃貸借事業制度」を設けている。同制度は賃貸借人にとっても高齢入居者にとってもメリットのある仕組みだ。相続人が見つからない場合、事業者は勝手に部屋に立ち入り入居者の残置物を片付けることはできない。だが、同制度では賃貸借契約は相続人に引き継がれないため入居者死亡時に事業者は残置物の処理を円滑に行える。

一方、高齢入居者は、貸主が解約の申入れを行える事由が通常の賃貸住宅より限定されるため安心して居住できる。死亡時まで更新料が掛からず1年以内の仮入居が可能だ。

「終身建物賃貸借事業制度」の認可実績は約1万戸(2016年度末時点)に留まっている。申請書類が煩雑で認可基準が厳しいなどの理由から、制度の活用は充分ではない。最も活用が進んでいるサービス付き高齢者向け住宅(サ高住)ですら、制度を利用している住宅はわずかだ。このため、今回、国土交通省は「終身建物賃貸借事業制度」の申請にあたり必要な添付書類を削減したうえで、認可基準を緩和した。

終身建物賃貸借事業の認可実績(戸数)の推移

具体的には、床面積の基準について、居間・食堂・台所その他の住宅の部分を高齢者が共同して利用する場合、専有部の床面積は9平方㍍で良いこととした。これはセーフティネット住宅のシェアハウス型の基準に合わせて変更したもので、セーフティネット住宅での終身建物賃貸借事業制度の活用を目指す。

また、既存住宅ではこれまで床がバリアフリーであることや階段の寸法についても細かく規定されていたが、こうした基準を削除。基本的には便所・浴室及び住戸内の階段に手すりを設置すれば良いとし、既存住宅での制度の導入を促す。このほか、これまで各自治体では「高齢者居住安定確保計画」で「終身建物賃貸借事業制度」床面積の基準を緩和できたが、新たに設備・バリアフリーの基準も緩和できるようにした。

サ高住については、“終の住処”を目指して制度設計がなされたが、「終身建物賃貸借事業制度」の認可を受けているものは一部に過ぎない。だが、今回の制度改正で同制度の活用が進めば、事業者はよりサ高住を供給しやすくなり居住者はより入居しやすくなるだろう。また、セーフティネット住宅については、昨年度から新たな枠組みが開始され、低所得高齢者の居住ニーズの受け皿として期待されている。それだけに、同制度の改正がセーフティネット住宅の供給と入居を後押しする可能性がある。

全文を読むにはログインまたは無料会員登録が必要です

無料会員について詳しくはこちら

既存ユーザのログイン
   
新規ユーザー登録
*必須項目
#
このエントリーをはてなブックマークに追加